こざわ・みか/2008年にリクルート入社。リクナビ副編集長として数多くの大学でキャリア・就職支援の講演を実施。19年にニットに入社。23年に令和PRを設立
こざわ・みか/2008年にリクルート入社。リクナビ副編集長として数多くの大学でキャリア・就職支援の講演を実施。19年にニットに入社。23年に令和PRを設立

 分からなくもないが、何もかもチャットで、といった「チャット依存」のような傾向が定着すると、どうなるのか。

「シーンによってはコミュニケーションギャップが生じるリスクもありますが、使い方によっては相手に対する配慮が感じられることもあります。その意味でチャットは、ビジネスコミュニケーションのセンスが問われるツールといってよいかもしれません」

 こう話すのはPR会社の「令和PR」(東京都新宿区)代表取締役で、オンライン上のアウトソーシングを手掛ける「ニット」(東京都渋谷区)の広報リーダーも兼務する小澤美佳さん(39)だ。

 小澤さんは「発言が飛び交うオンライン会議をつくるには?」というタイトルのビジネスパーソン向けレポートで、「適宜質問の時間を設け、チャットへの書き込みを司会者が促しましょう」とアドバイスしている。

「対面の会議でも自ら挙手をして質問するのはハードルが高いですよね。テキストメッセージなら質問しやすいという方も多いと思います」

 たしかに。ただしこれは、司会者以外は傍観者になりがちなオンライン会議で、出席者の参加意識を高め、意見を吸い上げるスキルの一つとして紹介されたものだ。リアルではどうなのか。じつは小澤さん自身、戸惑うことも少なくないという。

「それこそ目の前だったり隣りの隣りの席だったり、ほんの1メートルぐらいしか離れていない若手からの業務連絡が口頭ではなく、チャットで届く。こんなことはざらにあります」

「オフィスに出社して先輩や上司と対面で会話するか、離れている場合は電話でやりとりをするのが前提の環境で育った世代」と自認する小澤さん。若手の「チャット依存」ともいえる状況にはモヤモヤを抱く時もあると打ち明ける。

「チャットのコミュニケーションは『相手の時間を占有したくない』という配慮の面があるのもよく承知していますが、えっ? これって直接声かけてくれればよくない?と感じるシーンも正直あります」

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