ラサール石井氏(撮影/川口穣)
ラサール石井氏(撮影/川口穣)

「現実は甘くない」という言葉が嫌い

――選挙前には「社民党がなくなってはいけない」と強調していました。社民党の存在意義をどのように考えていますか。

「戦争はしちゃいけない」「差別はしちゃいけない」というのは、非常にシンプルで当たり前のことです。そうした当たり前の理想をしっかりと掲げて、言い続けているのが社民党です。いまの時代、理想を掲げると「お花畑」とか「現実的じゃない」みたいなことを言われる風潮がありますよね。でも、僕は「現実はそんなに甘くない」って言葉が一番嫌いなんです。僕は演劇出身ですけれど、演劇の世界でもミュージシャンでも、「食えるわけないだろ」みたいなことを言われて夢をつぶされていく若者がたくさんいる。でも、理想を掲げた先に夢をかなえる人が出てくるし、いま成功している人たちは途中でやめなかった人たちです。平和も反差別も、理想を言い続けた先に実現することだと思っています。

――参議院議員としては何に取り組みますか。

昔からやりたいと思っていたのは教育問題です。自民党政権下で、日本の教育は枠に押し込めて考えることをやめさせる、勉強のおもしろさを教えないものでした。政治のことには口を出すなという風潮も教育現場からできあがるわけで、そのことによって国力はものすごく落ちていると思います。考え方が違っても、相手を認めながら議論していくことが自然にできるような社会にしなくてはいけません。教育行政の根幹を変えるには50年かかるかもしれませんが、その芽をつくる取り組みはしたいと思っています。

――石井さんは23日、自身のSNSに石破茂首相について「ここ最近の自民党の首相では1番まとも」と書き、続投を支持していました。その真意は。

安倍派裏金議員のせいで自民党が弱くなったのに、その人たちが石破さんを追い落とそうとしているのは、外から見ていても「よく臆面もなく」と思います。石破さんは首相になったとたんに前言撤回してしまうような部分もありましたけれど、それでも自分の言葉で語る人です。「戦争をしてはいけない」と明言されているし、戦後80年談話を石破カラーで出してほしいと期待しています。石破さんはリベラル化しているとか言われますが、まっとうなだけです。

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