書籍『孤独の台所』
書籍『孤独の台所』

母親に問い詰められ…

 自炊はそのままパスタ作りの練習にもなったし、お金がない一人暮らしの経験にもなりました。生活が大変な人にとって自炊の何が面倒なのかがわかるから、その感覚が今のレシピ作りにも完全に活きています。

 ネットカフェはめちゃくちゃ居心地のいい職場でした。でも2年くらい働いたころ、母親から問い詰められます。

「いい加減まともな職場で働く気はないの?」

「今のバイト先だってまともだよ。そもそもまともな職場って何?」

「知り合いが働いてるホテルが求人を出してるから、そこで働けばいいでしょ」

 俺は別に辞めたくはなかったんですが、母親に心配をかけたくなかったので、ここは素直に言うことを聞きました。

 履歴書を書いてホテルに面接に行ったら、ちょうど人手不足だったのか、「きみ、見てくれもいいしちゃんとやってくれそうだから社員ね」といきなり契約社員として雇われることになったのです。

(リュウジ・著『孤独の台所』では、引きこもり→実家全焼→世界一周を経て、YouTube総再生数20億回超の料理研究家に至るまでの壮絶な半生を語っている)

孤独の台所
こちらの記事もおすすめ 「料理は最高のコミュニケーションツール」 リュウジが人と仲良くなる過程で「武器」になったパスタとは?
[AERA最新号はこちら]