
YouTubeで大人気の料理研究家・リュウジ氏。ネットカフェ店員時代の自炊の経験が、今のレシピ作りにもつながっているという。自身の人生と料理哲学を語りつくした最新刊『孤独の台所』(朝日新聞出版)より、一部を抜粋してお届けする。
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料理人としての挫折に至るまで、俺はネットカフェのアルバイト店員とホテルの契約社員をやってきました。
18歳で海外旅行から帰ってきたとき、家を出て自活しよう、と思うようになったんです。ただ料理人になるにも求人の調べ方を知らなかったので、とりあえず手っ取り早く就ける仕事を始めました。
ネットカフェでは深夜帯に働いていました。一番良かったのは、休憩時間中に漫画が読み放題だったこと。もし料理研究家を廃業することになったら、今でもネットカフェの店員に戻りたい。
シフトはだいたい19時に入って、休憩を取りながら朝まで続きます。
だいたい月に11万円くらい稼いで、家賃3万5000円のワンルームの家賃を払って、母親に譲ってもらった車の保険代、水道光熱費、他にも払うもの払って、どうにか食費に使えるのが3万円くらい。それでどうにか生活していました。
米よりも安いから、主食はパスタ。1キロ800円ぐらいの業務用パスタを大量に買っておいて、スーパーの特売で野菜や肉類を確保して料理するという生活を続けていました。1日2食で、一食はパスタ、もう一食はバイト先で適当に食べる。
この経験があるから、俺はどんな炎上をしても怖くないんですよ。お金がなくても別に生きていけるじゃん、と俺は思うんです。