鍵山優真(22):日本男子をエースとして引っ張る鍵山優真。「一試合一試合自分の全力を出し切って、オリンピックに少しずつ繋いでいけたら」(撮影:今 祥雄)
鍵山優真(22):日本男子をエースとして引っ張る鍵山優真。「一試合一試合自分の全力を出し切って、オリンピックに少しずつ繋いでいけたら」(撮影:今 祥雄)
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 6月27~29日に行われた「Dreams on Ice 2025~フィギュアスケート日本代表エキシビション~」で、日本代表の選手たちが新プログラムを披露した。特に五輪シーズンである今季は、どのスケーターもとっておきの曲を選んで臨んだ。AERA 2025年7月21日号より。

【写真】大一番での勝負強さも持つベテランの友野一希

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 男子は友野一希(27)、壷井達也(22)、佐藤駿(21)、鍵山優真(22)が新プログラムを披露した。

 ベテランの友野は、“氷上のエンターテイナー”の本領を発揮するダンサブルなショートプログラム「That's It(I'm Crazy)」(シェイ=リーン・ボーン氏振り付け)を滑った。今季初めて挑戦する片手側転もみせ、観客を沸かせた。

 友野は大一番での勝負強さも持つ。3回出場した世界選手権でも、5位(18年)、6位(22年)、6位(23年)と結果を残してきた。昨季の全日本選手権では5位、代表に選ばれた四大陸選手権では4位だった。男子シングルの日本スケート連盟強化選手の中では最年長だが常に向上心を忘れない友野は、決意をもって初の五輪出場を目指す。

 壷井は、YOSHIKIの壮大な名曲「Anniversary」を使うショート(マッシモ・スカリ氏振り付け)を披露した。強みである滑らかなスケーティングが映え、勝負のシーズンに自らの長所を生かすプログラムを用意した印象だ。

2年連続で表彰台に

 神戸大学に在籍する文武両道のスケーターである壷井だが、五輪シーズンの今季は大学を休学してスケートに集中する。昨季はグランプリシリーズNHK杯、全日本選手権で3位と躍進し、世界選手権に出場。五輪代表枠がかかっていた世界選手権では特有の緊張感に苦しみ、21位という結果だった。大舞台での苦い経験を糧に、覚悟をもって五輪シーズンに臨む。

 佐藤は、フリー「火の鳥」(ギヨーム・シゼロン氏振り付け)を滑った。王道の名曲だ。14年ソチ五輪フリーで町田樹さんが滑った曲でもあり、佐藤はその演技を参考にしていると明かした。

 卓越したジャンプの才能を持つ佐藤は、大技の4回転ルッツを武器に、19年ジュニアグランプリファイナルで金メダルを獲得している。20‐21シーズンにシニアに上がった当初は怪我に苦しんだが、徐々に実力を発揮。四大陸選手権では23年3位、24年2位と2年連続で表彰台に乗った。

 昨季はグランプリファイナルで銅メダルを獲得し、遂に世界の大舞台で表彰台に立った。しかし優勝を狙って臨んだ全日本選手権では、不本意な演技になり7位。だが五輪の出場枠がかかった世界選手権では、力強い演技をみせて6位と健闘した。

友野一希(27):多才な友野一希だが、ミラノ五輪シーズンを迎えるにあたりメディア関連の活動にはいったん区切りをつけ、スケートに集中して臨む(撮影:今 祥雄)
友野一希(27):多才な友野一希だが、ミラノ五輪シーズンを迎えるにあたりメディア関連の活動にはいったん区切りをつけ、スケートに集中して臨む(撮影:今 祥雄)
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