DeNAのオースティン
DeNAのオースティン
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 2年連続日本一を目指すDeNAが波に乗り切れない。苦戦の原因の一つが、タイラー・オースティンの不在だ。

【写真】DeNAが巻き返しのために獲得したのはこの剛腕

 昨年は打率.316で首位打者に輝いたが、今年はファーム暮らしが長い。4月6日に下半身のコンディション不良で登録抹消になり、いったん5月5日に1軍昇格したが、打撃の状態が上がらず、6月6日に右膝の違和感で再び戦列を離れた。29試合出場で打率.211、2本塁打、12打点は満足できる数字ではない。現在はファームでリハビリを続け、実戦復帰のメドは立っていない。7月23・24日に開催されるオールスターに選手間投票で選出されたが、出場できるかは不透明だ。

「オースティンの一番のネックは故障が多いことです。今年で来日5年目ですが、規定打席に到達したシーズンが1度しかない。シーズンを通じて試合に出続ければ、三冠王を獲得できる実力も持っているだけにもったいない」(スポーツ紙デスク)

 コンディションが万全な時の実力はずば抜けている。メジャー挑戦した筒香嘉智に代わる強打者として来日したのが20年。度重なる故障で65試合出場にとどまったが、20本塁打をマークした。翌21年は米国代表で東京五輪に出場し、打率.417、2本塁打、7打点を記録し、大会ベストナインに選出された。シーズンでも規定打席にわずかに足りないながら、打率.303、28本塁打、74打点をマークしている。

 オースティンは果敢に次の塁を狙い、フェンスに激突しても捕球を試みる全力プレーが代名詞だが、故障で離脱することも多い。相次ぐケガで、22年は38試合、23年は22試合のみの出場に終わり、1軍の戦力として稼働できなかった。だが、昨年は初めて規定打席に達して首位打者に輝き、26年ぶりの日本一に貢献した。

 21年オフに、DeNAはオースティンと3年契約プラス4年目は球団が契約オプションをもつという条件で合意している。そして球団は3年目の昨年オフ、4年目の契約延長を決めた。今年が契約最終年となり、今オフの去就が気になってくる。

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