
同じく、セ・リーグ球団の打撃コーチもキャベッジの身体能力の高さに一目置く。
「スイングスピードが速く、思い切り振らなくても外野の頭を越えていく。足が速いのも魅力で、次の塁を狙う積極的な姿勢も評価できます。外野の守備も球際に強いですしね。彼を見ると阪神で活躍したクレイグ・ブラゼルと重なります。ブラゼルは西武に入団した時には極端に引っ張る打撃スタイルでしたが、阪神に移籍してからは逆方向にもヒットゾーンを広げたことで打率が一気に上がりました。キャベッジに限らないですが、パワーのある外国人選手は結果が出ないと強引に引っ張って打撃のバランスを崩してしまうんですよね。でも、結果が出なくても怖いですよ。少しでも甘く入ったらスタンドに運ばれる怖さがありますから」
本塁打を打つ能力は天賦の才だ。キャベッジは7月4日の広島戦で0-0の8回に代打で登場すると、森下暢仁の内角に入った147キロ直球を右翼席の上段に突き刺す決勝の8号ソロを放ち、好投を続けていた山崎伊織に8勝目をプレゼントした。キャベッジが今季本塁打を打った試合は、7勝1敗と高い確率で白星に結びついている。
「巨人がキャベッジと契約延長を結ばなければ、他球団が獲得に動く可能性が十分にあるでしょう。28歳とこれから全盛期を迎える選手ですし、日本野球に慣れれば面白い。長距離砲が補強ポイントの球団は多いですしね。ガッツを前面に出すプレースタイルで、日本で成功したいという思いを強く感じるのも好印象です」(スポーツ紙デスク)
巨人から移籍してタイトルを獲ったロペス、ポランコ
日本球界でプレーした助っ人外国人が、国内の他球団でプレーするケースは多い。巨人で言えば、ホセ・ロペスが2年間プレーした後にDeNAへ移籍。攻守の中心選手として6年間プレーし、17年に打率.301、30本塁打、105打点で打点王と最多安打(171本)のタイトルを獲得している。また、グレゴリー・ポランコは来日1年目の22年に巨人で打率.240、24本塁打、58打点をマークしたが、確実性の低さと不安定な外野守備がネックとなり1年限りで退団。ロッテに移籍すると、翌23年に打率.242、26本塁打、75打点で本塁打王のタイトルを獲得している。
「ポランコは巨人時代に比べて劇的に打撃が変わったわけではありません。ただ、『投高打低』で得点がなかなか入らない中で、本塁打を打てる選手は希少価値がある。そこを首脳陣がどう評価するかによって選手の起用法が変わります」(スポーツ紙デスク)
キャベッジが春先のような調子を取り戻せば、巨人の得点力が一気に上がることは間違いない。1軍の舞台に早期に復帰し、逆襲のキーマンになれるか。
(今川秀悟)
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