
阪神が首位を快走する中、追いかける巨人は貧打解消が大きな課題となる。その中で長距離砲として期待されながら、苦しんでいるのが新外国人のトレイ・キャベッジだ。
【写真】思いが空回り? 右前打で二塁を狙ってアウトとなったキャベッジ
メジャーでは通算67試合出場で2本塁打と目立った実績がないが、23年に3Aで打率.306、30本塁打、32盗塁と「トリプルスリー」を達成。打球を遠くへ飛ばすだけでなく、足も速い。その実力は春先にすぐ証明した。開幕のヤクルト戦で来日初アーチを放つなど猛打賞の大活躍。翌日の2戦目も2試合連続の3ランを右翼席に叩き込んだ。5月上旬に岡本和真が左肘靭帯損傷で離脱すると4番を務め、5月終了時点で打率.288、7本塁打、22打点。打線の中核になっていたが、6月に入ると快音がピタリと止まる。月間打率.129、0本塁打、3打点。66打席で22三振と絶不調に陥った。スタメンから外れるようになり、7月12日に登録抹消された。
「ストライクゾーンからボールに落ちる変化球に苦戦していました。センターから逆方向に安打が出ていた春先は体が開かずにボール球を見極められていたけど、結果を出さなければいけないという焦りがあったのでしょう。強引に引っ張りに掛かって空振りや凡打が増えました。責任感の強い選手なので悔しい気持ちは大きかったと思います」(巨人を取材するスポーツ紙記者)
何とかチームに貢献したい――。その思いが空回りしてしまったのが、7月1日の阪神戦だった。1点差を追いかける7回に先頭打者で代打出場し右前打を放ったが、果敢に二塁を狙って右翼手・森下翔太の送球でタッチアウトに。三塁ベンチの阿部慎之助監督は思わず突っ伏して、試合後に走塁ミスへの苦言を呈した。
「打席でのアプローチを変えれば変わる」
キャベッジは来年の契約延長を勝ち取れるか微妙な状況だが、他球団の評価は高い。セ・リーグ球団のスコアラーは「キャベッジは日本で成功できる資質を持っていると思います。6月以降の打撃を見ると、日本野球の配球に戸惑っているように感じますが、打席でのアプローチを変えればガラッと変わると思いますよ。あまり詳しくは言えないですけど」と言う。