球団施設が近距離にあることで情報共有がしやすい。調子の良い選手をリアルタイムで1軍昇格させて起用することもできる。「1軍登録選手のみでなく支配下選手全員で状況に応じて戦うのは、米国と変わらない」(MLB球団アジア担当スカウト)という声も聞かれる。

 チーム強化と共に、プロジェクトの大きな目的は更なる収益向上。エスコンフィールド北海道を中心とした北広島地区の大型開発が成功に向かっており、同様の狙いを持っているようだ。

「2004年の札幌移転から20年が経過、道民球団として幅広く認知されている。『失敗するだろう』という声もあった北広島市への本拠地移転も流れに乗れた。『ビジョンとプランを綿密立てれば、2軍にもビジネスチャンスがある』という考えのはず」(スポーツマーケティング会社関係者)

『北海道ボールパークFビレッジ』(以下Fビレッジ)全体で、2024年は年間約419万人が来場。特筆すべきは、約211万人が試合日以外に訪れていること。「年間通して売り上げがあるので、2軍新本拠地への期待も高い」(スポーツマーケティング会社関係者)というのも理解できる。

「Fビレッジは施設自体にも大きな魅力があるが、同時にトラブル等への対応もうまい。最寄りの新駅建設の遅れも、関係各所と適切な交渉を行ないつつ、情報提供をうまく行ってファンや市民の不安を取り除いた」(シーズン席を持つ日本ハムファン)

 当初は建築資材高騰の影響もあり、新駅建設自体が危ぶまれた。しかし可能な限りの詳細を公表しながら着地点を探した。2028年頃には、Fビレッジから約300mの場所に新駅が完成予定。「未来がわかれば、それまでは我慢できます」(シーズン席を持つ日本ハムファン)と笑顔を見せる人は多い。

「人が集まればトラブルも生まれる。現在、北広島駅周辺で迷惑駐車が大問題になっている。駐車場数を増やすと共に、警察等の各所と連携して取り締まりも始めている。水面下で対応に動きつつも、情報開示して周囲に安心感を与えるのは素晴らしい方法」(スポーツマーケティング会社関係者)

次のページ グラウンド内外で勝者へ