日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサーを務める栗山英樹氏(写真提供・日刊スポーツ)
日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサーを務める栗山英樹氏(写真提供・日刊スポーツ)
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 日本ハムは欧米方式の球団運営を徹底、日本スポーツ界の勝ち組を目指す。従来の慣例を取っ払い、チーム強化と収益の最大化を図っている。

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 7月7日『七夕の日』。日本ハムは2軍本拠地を現在の千葉県鎌ヶ谷市から北海道内へ移転予定であることを発表した。2030年の開業を目指し、札幌市や1軍本拠地がある北広島市などの6自治体とは情報交換を含めた交渉を開始しているという。

「若い選手を地域とともに一緒に育てていきたい。育成の拠点を北海道につくるというのは大きな願いでもあり、思いでもありました」(栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー)

 5000人収容のメインスタジアム、サブグラウンド、室内練習場、選手寮が集約された“日本ハム版虎の穴”だ。また周辺には商業、住宅、宿泊施設の開発も想定。1軍本拠地・エスコンフィールド北海道と同様、野球場を中核とした“まちづくり”プロジェクトとなる。

「今季は首位争いを繰り広げている。更なるチーム強化のため、球団施設が近距離圏内にあることを重視。そして北海道全域を商圏と捉えたビジネスにも全力を注ぐためだろう」(日本ハムOB)

 ファイターズ鎌ケ谷スタジアムは1997年3月開業。ダルビッシュ有(パドレス)や大谷翔平ドジャース)など、数多くの名選手が巣立った場所だ。2軍本拠地移転は各方面に衝撃を与えており、芝田裕美・鎌ヶ谷市長は「大変残念で、寂しく思っています」と公式コメントを発表した。

「NPBでは1、2軍の物理的距離がチーム強化にも直結する。若手育成や怪我・故障者のリハビリ環境がより改善されるはず」(日本ハム関係者)

 米国マイナーと比較する人もいるが、日米交通事情の違いは大きい。米国マイナーでは一昔前のようなバス移動は減少、飛行機移動が多くなった。大都市ハブ空港だけでなく、小規模都市にも空港があり夜間のフライトもできるからだ。

「特にMLBと3A球団の選手入れ替えはスムーズにできるように考慮されている。NPBでも車移動できる距離に球団施設がある球団がほとんどで、日本ハムだけが例外だった。そういった不利な要素がなくなるのは本当に大きい」(MLB球団アジア担当スカウト)

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