日本にもまだ“勝機”はある

――近年は、韓国・中国の市場も急速に拡大成長しています。日本の優位性は保てますか?

 韓国はK-POPやドラマ、ウェブトゥーンなど多様なジャンルを海外に輸出し、それが観光にもつながっている。中国でも興行収入3100億円で世界一位を記録した3Dアニメ映画『ナタ 魔童の大暴れ』が登場するなど、ロケ地巡りツアーが増えています。でも私は、日本にはまだ“勝機”があると考えています。それは、作品とファンの間にある「クリエイティブ(創造的)な関係性」です。日本のファンは物語の“内側”に入ろうとする。そして、制作者もそれを意識して丁寧な世界観を作っている。この双方向的な関係性と信頼が日本のコンテンツ産業の強みだと思います。

 政府の支援ももちろん大事ですが、表現の自由を保ち、クリエイターの創造性をつぶさないことが何より重要だと考えます。むしろ「口を出さないで支える」ことが、日本流の支援の形なのではないかと。

――最後に、今後のコンツーの可能性について教えてください。

 これからの日本は、プラットフォーム競争ではなく、“IP(知的財産)で勝負する”ことが重要です。Netflixなどで日本のアニメや映画が世界で受け入れられているのは、物語の質や創造性が高いからこそです。また、観光産業とコンテンツ産業の連携が今後ますます重要になるでしょう。コンツーは単なるブームではなく、物語と経済をつなぐ新たな社会インフラ”です。地域、作品、ファン。この三者がつながることで、日本発の観光文化はさらなる進化を遂げるはずです。

(AERA編集部)

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