現地で高い評価を得ながら怪我によって帰国したのが、長澤和輝(専修大→1.FCケルン)だ。八千代高校時代に主将として選手権に出場して大会優秀選手に選出され、専修大学では1年生の時からレギュラーとして出場し、4年時には主将として関東1部リーグ3連覇を成し遂げた。同時に横浜F・マリノスの特別指定選手としてナビスコ杯(現ルヴァン杯)に出場したが、2013年12月に当時ブンデスリーガ2部の1.FCケルンと契約を交わした。そして加入直後から出番を得ると、半年間でリーグ戦10試合に出場してチームの2部優勝&1部昇格に貢献した。

 しかし、その後に左膝靭帯断裂の重傷を負って出番を減らし、2015年12月に浦和レッズと契約して帰国した。その後、浦和以外にもジェフ千葉、名古屋グランパス、ベガルタ仙台でプレーして実績を残し、2017年11月にはハリルホジッチ監督のもとでA代表デビューも飾った。しかし、日本代表での出場は1試合のみ。2024年8月にはAリーグのウェリントン・フェニックスFCに移籍して33歳となった今も現役でプレーしているが、「もし、怪我なくドイツでプレーを続けていれば……」との思いもよぎる。

 今季、浦和レッズで不動の地位を築いている渡邊凌磨(早稲田大→インゴルシュタット)も大学から直接、海外に渡った一人だ。高校時代は前橋育英で鍛錬を積み、2年時に出場した2013年のU-17W杯で3得点の活躍を見せ、3年時にはエースとして選手権準優勝に貢献した。そして早稲田大学に進学したが、入学半年足らずの2015年9月にドイツ・インゴルシュタットに移籍した。

 以降3年間、U-23チームでプレーして試合経験を積んだが、トップチームでは公式戦に出場することなく、2018年7月に当時J2のアルビレックス新潟と契約を交わして帰国。その後、J2モンテディオ山形を経て、2021年にJ1のFC東京、そして2024年から浦和レッズでプレーしている。優れたテクニックと豊富な運動量と高い万能性を持つMFとして活躍し、クラブW杯の舞台でもゴールを決めたが、年齢的には今年の10月で29歳になる。ドイツでの3年間で学んだことは多かったが、キャリア形成の面では渡独が成功だったかどうかは微妙なところだ。

次のページ SixTONESのジェシーの従兄弟はドイツへ