“小泉進次郎劇場”の効果は乏しかった
しかも、都議選の結果が大々的に報道されることで、参院選の投票行動に影響を与える可能性もある。伊藤氏は民主党(当時)の事務局長を務めていたとき、政党のメディア露出と支持率の相関関係について調査したところ、露出が増えるほど支持率は明らかに上がったという。
「最近のマスコミは、勢いのある政党のことを集中的に報じる傾向があります。少し前は日本維新の会、最近は国民民主党でした。今はSNSの時代だと言われますが、SNSの情報というのは実はマスコミ報道の切り取りや焼き直しであるケースが非常に多い。テレビや新聞など既存メディアの報道姿勢は、まだまだ世論に対する影響力を持っています」
今回の都議選は、自民が過去最低議席、公明が36年ぶりに落選者を出し、与党への厳しい審判が突きつけられた。久米氏と伊藤氏は、参院選の結果をどう予測するのか。
「自公は昨年の衆院選で大敗したが、現政権が相変わらず有権者の声に応えられていないことが都議選の結果に表れた。参院選も似たような結果になるでしょう」(久米氏)
「備蓄米をめぐる“小泉進次郎劇場”の効果は乏しく、自民の弱体化が鮮明になった。ただ、都議選の結果を受けて、世論が自民を見限る方向に動くのかは未知です」(伊藤氏)
少数与党である石破政権が参院でも過半数を割れば、国会運営は立ち行かなくなり、たちまち危機的状況に陥る。今回の“巳年の選挙”が持つ意味は特に大きい。
(AERA編集部・大谷百合絵)