1998年7月13日、退陣表明直前に自民党本部を訪れた橋本龍太郎元首相
1998年7月13日、退陣表明直前に自民党本部を訪れた橋本龍太郎元首相
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 政権交代に直結する衆院選に対し、参院選は政権の中間テストに過ぎない──。政界やメディアなどで、さかんに言われるため、参院選は衆院選より影響力に欠けるイメージを持つ人もいるかもしれない。だが歴史を振り返れば違う。

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 参院選の自民党大敗を受けて宇野宗佑首相は1989年、橋本龍太郎首相は98年に辞任。2001年には森喜朗内閣の支持率急落で、同年夏の参院選を「戦えない」との空気が党内に広がり、森内閣は総辞職の道を選んだ。参院選は政権を揺るがしてきたのだ。

 なぜ与党は憲法上、予算案可決や首班指名などについて「優越しない」参院の選挙結果を重く受け止めるのか。自民党選対本部事務部長などを歴任した選挙・政治アドバイザーの久米晃氏は、「参院選は衆院選よりも政権への評価がダイレクトに表れるからだ」と読み解く。

 久米氏によると、有権者に「自分にとって距離の近い政治家/遠い政治家」を問うアンケート調査をすると、最も身近な政治家は町議会議員や市議会議員で、その次が県議会議員や衆院議員、最もなじみが薄いのが参院議員との結果になるという。

 背景には、地元活動に精を出す参院議員が少ないという実態がある。特に地方では、衆院議員とは挨拶や握手を交わしたことがあっても、参院議員の姿は一度も見たことがないという人はざらにいる。

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