「投手陣ではエース・戸郷翔征の復活。赤星優志の成長は良かったが、エースがいなければ始まらない。強力ブルペン陣が控えるだけに、大黒柱の調子が戻ればチーム力は一気に上がる」(巨人関係者)

 7年目右腕の戸郷は開幕から調子が上がらず、今季は2勝6敗、防御率5.24と苦しんでいる。6月22日の西武戦(東京ドーム)で5回6安打3失点と打ち込まれた後は、今季2度目の2軍降格となった(数字は7月4日時点)。

「(戸郷は)技術、精神面など、いくつかの原因が考えられる。早く1軍へ戻るに越したことはないが、まずは全てを見直して欲しい。優勝争いヤマ場の8月後半には完璧な状態になっていて欲しい」(巨人OB)

 先発投手陣は右の赤星、山崎伊織、西舘勇陽、左のフォスター・グリフィン、井上温大、横川凱と頭数は揃う。戸郷が戻ってくるまでは、野手同様に現有戦力で戦うしかない。

「何よりも、阿部監督が冷静に先を読んだ采配をすることが重要。周囲の助言も受け入れ、現有戦力を適材適所で起用して勝ち抜くしか道はない」(巨人OB)

 ベストメンバーを組めないもどかしさがあるだろう。また若手選手を中心に大事な場面でのミスも出ている。阿部監督自身、かなりのストレスが溜まっていることが想像できる。

「今はとにかく我慢するしかない。指揮官が感情的になれば、チーム全体にも悪影響が及ぶ。特に若手選手は萎縮してしまう恐れもある。現役時代のように悠々、堂々と構えていてもらいたい」(巨人OB)

「もう後半だからね。そうやって思って、みんなのお尻たたいてやろうと思います」という、阿部監督のコメントにも懸念の声は聞こえる。

「オールスターを1つの区切りとしたように、阿部監督の中では後半戦へ向けてのシミュレーションもできているはず。ゲーム差も僅かなので、心配はしてないです」(巨人関係者)

「パ・高、セ・低」の交流戦結果は世間を騒がせた。しかしその甲斐もあり、リーグ内での順位とゲーム差は大きく変動しなかった。今後、怪我・故障者や不調選手が万全な状態で戻ってくれば、巨人は今季交流戦の大きな恩恵を受けることにもなる。まずはオールスターまでの約半月が大きな勝負となりそうだ。

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