さかいみき/1978年、静岡県生まれ。俳優。2021年から不二家の社外取締役。23年、東洋英和女学院大学大学院国際協力研究科修了。2025年10月まで舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演中(写真:本人提供)
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 企業の社外取締役に女性を起用する事例が増えている。2021年から不二家の社外取締役を務める俳優の酒井美紀さんは、当時大学院で研究していたテーマと自身が打診された背景との関連や、取締役会に出席するため猛勉強したことなどを語りました。AERA 2025年6月16日号より。

【グラフ】社外役員(社外取締役・社外監査役)成約数に占める女性の割合

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 不二家の社外取締役の打診があった当時、大学院で国際協力や社会課題を研究していました。サスティナビリティーやSDGsを学んでいたのですが、当時、コーポレートガバナンス・コードが強化され、社会の流れが変わりつつある時でした。社会貢献の視点を持っての経営判断を期待され、就任に至りました。社会の流れと自分の専門性が合ったタイミングだったと思います。

 1年目は、とにかく大変でした! 経営、財務関連の知識を得るために猛勉強。製菓業界だけではなく、日本社会や経済、取引をしている海外の情勢も追いました。また、取締役会では数字を見て決議を取ります。その数字が何を表しているか、“数字の先”までの理解力が必要です。

 その点は、大学院の研究で財務諸表を読んでいた経験が役立ちました。論文執筆を通して体得した「主観を入れず客観的に物事を見る考え方」も生きました。

 社外取締役になってから感じているのは、決議で「Yes」を出す重みです。経営に関する意思決定を担うので、責任感と重圧感は常にあります。でも、会社にとって新たな分野で力になれるのであれば、チャレンジを続けたいと思います。

AERA 2025年6月16日号より抜粋

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