単なる人数合わせに
「この頃から、じわじわと女性の社外取締役・役員登用を考える企業が増えてきました」
そう話すのは、人材サービス会社パーソルキャリアが運営するHiPro(ハイプロ)のタレントシェアリング事業部で独立役員支援を担当する伊藤優さんだ。同社では、副業・フリーランスの人材支援を手がけていて、実際に女性の社外取締役が求められるケースが増えているという。
だが、いまだに国内の上場企業の女性役員の比率は1割程度に留まっていて、企業側の中には女性の社外取締役を起用したい思いはあるものの、何を任せるのか、何のために女性を加えるのかが、不明確なケースもある。伊藤さんは、こう指摘する。
「『女性を登用する』という考えだけが先行すると、単なる人数合わせになってしまい、成果があがらない結果に陥ってしまう」
冒頭の女性も、面談時に「ただいてくれればいい」といった雰囲気を感じると、やんわりとお断りをすると打ち明ける。
企業側の本気度を見極める必要はあるが、少しでも経営に興味があるのであれば、いま増えている求人にあたってみるのもいいだろう。
Coaching Leaders Japan CEOの桜庭理奈さんはコーチングを用いた研修を通し、アラフィフキャリア女性と多く接している。新たな活躍の場を求めている人などもいる中、「どのような立場でも、自身の役割や関わり方について就任前に企業側と対話することが大切」と話す。
「実際に社外取締役に女性を入れてみたら、何だか社内の風通しがよくなった、経営面でも多角的な視点が入るようになったと感じてもらえれば良いと思います」(冒頭の女性)
一歩を踏み出せる時代が到来している。
(フリーランス記者・小野ヒデコ)
※AERA 2025年6月16日号より抜粋
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