
近年、社外役員に女性を起用する企業が増えている。従来の紹介や縁故での起用ではなく、人材サービス会社がマッチングする新たな事例もその要因となっている。実際に社外取締役に就いている女性に具体的な任務や企業が女性の社外取締役を求めている理由など、就任前に確認するポイントを聞いた。AERA 2025年6月16日号より。
【グラフ】社外役員(社外取締役・社外監査役)成約数に占める女性の割合
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ここ数年、アラフィフ女性のキャリアの選択肢に、“社外取締役”のポジションが浮上している。最近では元アナウンサーの女性たちが、企業の社外取締役に就く報道もされるようになった。
「私には関係ない」と思うのは早い。
これまで紹介や縁故が主流だったが人材会社を通したビジネスマッチングの結果、社外取締役・役員就任する事例が増えているのだ。中でも、女性の成約数が増えている。
東京都内のコンサルティング企業経営者の女性(40代後半)は現在、不動産業など数社の社外取締役に就いている。自身の事業をしながら、その職務を全うするのは並大抵のことではないが、生き生きとした表情からは、やりがいを持って仕事をしている様子が窺える。
女性が社外取締役というポジションに関心を持ち始めたのは、会社員時代に遡る。
大学卒業後に勤めたIT企業では、営業とマーケティングに従事、組織が急成長する過程を実体験したという。
その後、「自分の理想とする組織を作りたい」との思いから30代で起業した。事業を成長させ、株式を売却。キャリアを重ねる中で強く芽生えたのは、「何かの役に立ちたい」との気持ちだった。
「起業して有名になりたい、儲けたいという気持ちはわきませんでした。自身のスキルを棚卸しした際、これまでの経験を社外取締役として生かせるのではと思いました」