元朝日新聞記者 稲垣えみ子
この記事の写真をすべて見る

 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】空き地に咲いていた紫陽花 梅雨とともに友達になれそう

*  *  *

 数カ月前から、フェイスブックをやめている。

 自分がやっている唯一のSNSで、友達はリアルな知り合いのみという閉じた世界だったけれど、それでも十数年続けたら友達は500人くらいになった。知り合いがいろんなところで元気に頑張って生きているのを知るのはそれだけで楽しかったし、自分も旅に出たり面白いことに出会ったりした時はちょくちょく投稿した。コメントがあれば嬉しくて、まめに返信もした。

 違和感を感じ始めたのは、コロナがきっかけだったと思う。当時はみんなヒステリックになっていたもんね。強い調子の怒りや告発や皮肉や提言の投稿が増え、知ったつもりになっていた人の意外な側面を知った。もちろん自分もはたから見ればそんな中の一人だったろう。

次のページ