早生まれは世話され上手?
早生まれのメリットは、ほかにもある。読者アンケートでは、こんな気になる回答もあった。
「孫の様子を見ていると、保育園で手がかかると同時に、最後まで赤ちゃんなので可愛がられてお世話され上手というか、おっとりしているように思います」(神奈川県、66歳女性)、「できないことが多いことに対して、世話好きっ子から優しくしてもらえるといういい面もあると思う」(東京都、50歳女性)──。
早生まれは世話され上手。そんなことって、あるのだろうか。瀧さんはこう話す。
「早生まれの人は、特に小さい頃は幼い雰囲気がありますよね。周囲の人はそれを見ると、どうしても手を差し伸べたくなる。そのことで、早生まれの人は知らず知らずのうちに、『受援力』『愛され力』のようなものが身についていくんです」
人生にとってプラスになる
この受援力、「実は誰にでも備わるものではない」と瀧さんは言う。つい「自分でやらねば」と、人に頼ることを「悪だ」と考えてしまう、そんな人も多いからだ。
「自分でできることは自分でがんばるけど、ちょっと難しいと思ったら自然に人の力も借りながらがんばれる。助けてもらったら、その分、次は助けてあげる。そんな姿勢につなげられるなら、自分の人生にとってプラスになると、私は思います」
子どもに伝えるべき?
さて、そんな「早生まれ」の「正負両面」を、果たして本人に伝えるべきか。
読者アンケートでも、「『早生まれ』の有利不利を感じられるような育て方をされれば、そういう価値観が身についてしまうのではないか?」(東京都、53歳女性)という声がある一方、「早生まれの子どもにはもしかしたらそういうハンディがあることを自我の芽生えの頃から少しずつ教えてあげてアドバイスしてあげるのが良いのではないか」(神奈川県、66歳女性)という声もあった。
瀧さんは「どっちの意見もわかるし、大切」としたうえで、こう話す。
「発育過程で『早生まれは不利』『かわいそう』といった価値観は、世間一般である程度、できあがっていると感じます。有利不利を感じさせない育て方をしようにも、結局、いつかは感じざるを得ないのでは。だとしたら、『デメリットも確かにあるんだけども、こういうふうに考えると実はメリットも大きいよ』というメッセージをしっかりと発信し、伝え続けてあげること。これがすごく大切なことだと、私は思っています」
(編集部・小長光哲郎)