
元日から4月1日までの間の生まれを指す、「早生まれ」。幼稚園や小学校に入る場合、「遅生まれ」の子より約1年早く入園・入学することになる。同時点での学力面、体力面を比べると劣ることも多い。他者と比べてしまい、自己肯定感を損なうこともあるだろう。つまり、早生まれは「損」なのか。
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「早生まれ」の子にもどかしさ
「早生まれでよかった、と思ったことなんて一度もないです」
こう嘆くのは、和歌山県で医療関係の仕事をする39歳の女性。自身は「遅生まれ」だが、現在小学6年生の双子の息子たちが3月31日生まれの「早生まれ」だ。
「誘発分娩で4月2日が予定日だったんです。担当医も『早生まれじゃないほうがいいんじゃない?』と言ってくれて。でも2日前に破水して前倒しになって」
当時、担当医の言葉にピンときていなかったという。おや?と思い始めたのは幼稚園に入る頃だ。
「その時点で、うちの子はまだオムツもとれていなかった。他の子は体も大きいし、私から見たらすごく自信があるように見えた。もどかしい思いをしました」
あと2日遅く生まれていたら
小学校に上がっても「他の子に比べて理解が遅いんじゃないか」「時間がかかるなあ、この程度のことに」などと思うことは多々あったという。
「ただ、オムツも勉強も、半年くらい遅れてちゃんとできるようになるんですね。同じ学年にいるせいで、『周りはできているのに、ウチの子はできていない』となってしまう。あと2日遅く生まれていたら、こんなこと思わずに済んだのに、と」
早生まれは遅生まれに比べると、特に子どもの頃は何かと不利──。よく聞く話だ。
今回、AERAが行った早生まれに関する読者アンケートでも、「小学校低学年までは、運動や遠足時の体力がなかった」(長野県、45歳女性、3月生まれ)、「あらゆる分野の学習の吸収力が他の子より遅かった気がします」(東京都、46歳女性、4月1日生まれ)など、体力面や学習面で苦労したといった回答が多くあった。
自己肯定感の低下
東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之さんは、脳科学の観点からこう話す。
「早生まれの子と遅生まれの子のさまざまな『差』は、大人と比べると生まれてからの時間がまだ短いからこそ、大きく出る。体格など物理的な成長度合いはもちろん、認知機能も含めた脳や心の発達の過程で、早生まれの子に遅れやデメリットが出ることは、ありうることだと思います」
瀧さんがまず挙げるのが「自己肯定感の低下」だ。