西武の渡部健人(日刊スポーツ)

ロッテの外野陣で厳しい立場の山口

 ヤクルト補強ポイントに合致し、所属チームで出場機会が減っているのが、ロッテの山口航輝だ。22年に102試合出場で打率.237、16本塁打、翌23年に114試合出場で打率.235、14本塁打とレギュラー格で活躍している。昨年は打撃不振で51試合出場と激減し、打率.200、2本塁打とふるわなかった。今年は開幕を2軍で迎えて5月14日に1軍昇格したが、6試合出場で結果を残せなかったため、6月4日に再び登録抹消されている。ロッテの外野陣は藤原恭大、高部瑛斗、岡大海、角中勝也のほか、同じ右打者の山本大斗が6月4日の巨人戦で自身初の4番に抜擢され、逆方向の右翼席に決勝弾となる先生アーチを放った。ファームには将来の主軸として期待されるドラフト1位の西川史礁が控えており、山口の立場は厳しくなっている。

 ただ、ロッテを取材する民放テレビの関係者は「山口は吉井理人監督の期待が大きい選手です。近年は思うような活躍ができていませんが、主力級の選手が交換要員でなければトレードは成立しないと思います」と話す。

今年は1軍出場がない「ベッケン」

「ベッケン」の愛称で知られる西武の渡部健人も、長距離砲としての潜在能力を評価する声が多く、ヤクルトの補強ポイントに合致する。体重100キロを超える巨体からのパワフルな打撃が持ち味で、ドラフト1位で入団した際は体型が重なる中村剛也、山川穂高の後継者として期待された。故障者が続出した23年に自己最多の57試合に出場し、打率.214、6本塁打、25打点をマークしたが、その後は伸び悩んでいる。昨年は11試合出場で打率030、本塁打ゼロ。今年は1軍の出場機会がないが、イースタン・リーグでは22試合出場で打率.250、4本塁打、16打点という成績だ。

 他球団のスコアラーは、「リチャードと重なる部分がありますね。球を遠くへ飛ばす力はありますが、確実性を欠くので1軍レベルの投手だとなかなか結果を出せない」と分析する。西武は昨年のドラフト2位ルーキーの渡部聖弥が打率.331、4本塁打とブレーク。ファームに目を移すと、和製大砲・村田怜音が「4番・一塁」で起用され、育成枠の仲三河優太が打撃好調で支配下復帰を目指している。

「渡部健人の置かれた状況は厳しい。他球団に移籍したほうが出場機会のチャンスを得られるなら、球団はトレードを検討するでしょう。真面目な性格でミスを引きずってしまう傾向があるので、精神的にたくましくなればパフォーマンスも変わってくると思います」(西武を取材するライター)

 現状のヤクルトの戦力を考えると、トレード補強などによって打線を再整備しないと、借金の返済はおぼつかない。まだペナントレースは長い。神宮球場で熱心に応援を続けるファンのため、セ・リーグを盛り上げるためにも、なんらかの手段を講じて巻き返してほしい。

(今川秀悟)

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