今季から本拠地となるZOZOマリンでは、2018年以降の17試合で7連勝中だった。「25試合、それ以上を投げる覚悟でここに来ることを決意した」(石川/昨年12月19日のロッテ入団会見)と自信に溢れた様子を見せていたが現実は甘くなかった。

「調子は悪くない。打線との巡り合わせで勝てないだけだと思う。またソフトバンクでは強力打線にバックアップされ、投球自体が大胆にできていたことも関係あるだろう」(在京球団編成担当)

 西野は2008年育成ドラフト5位でロッテに入団。11年限りで育成契約期限3年に到達したため、自由契約となり育成契約を結び直し、翌12年オフに支配下登録された。抑えを任された時期もあったが23年からは先発復帰、昨年は自己最多となる9勝をマークするなど期待度は高かった。

「気持ちを感じる投球をしてくれる。17年目のベテランだが球威、制球力ともに衰えておらず、先発したら試合を作れる。今季は7試合に投げ(6月4日時点)勝ち星は付いていないが、状況次第では5勝程度していてもおかしくない」(在京球団編成担当)

 昨オフには悩んだ末に国内FA権を行使せずロッテ残留を決めた。育成入団時から芽が出るまで育ててくれたチームへの思いは強い。「マリーンズは家族です」(西野/昨年11月12日の残留表明時)とは心底の言葉だろう。

「降板後もベンチに残って声援を送る姿は、チームへの献身性を感じさせる。後輩選手に質問されると親切丁寧に答えている姿も印象的。誰もが西野に勝ちを付けたいと思っている」(ロッテ関係者)

 2投手の姿は西武・高橋と重なって見える。4月29日の楽天戦(ベルーナD)で597日ぶりの勝利投手になった高橋だが、2023年9月10日の日本ハム戦(エスコン)から19試合連続未勝利、自身13連敗を喫していた。

「野球では巡り合わせが悪いと全てがうまくいかなくなる。西武のチーム状況が最悪で、高橋はずっと勝てなかった。メジャー球団注目右腕があそこまで勝てないのは考えられなかった」(在京球団編成担当)

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