
「下北沢の日記専門店で開かれた日記のワークショップに参加して、まず日記の楽しさを知り、つぎにその日記を本にする楽しさを見せてもらった。もしや自分にもできるかも?とがんばって、3年前に最初のZINEを作りました」
そう話すのは、今ではお弁当日記を中心にした十数冊のZINEを並べ、多くのお客さんを集めていた、しらい弁当さんだ。そのなかの「しらい弁当手帖」の奥付を見ると、「編集、印刷、製本:しらい弁当」。手書きの文字とイラストが味わい深い。
一方、大学の友人6人と食べ物ZINEのシリーズ「mg.」などを作っているのは、かわかみなおこさんだ。
「30過ぎたいま、自分が得意なことを紹介する場として本を作ろうと思いました。生活とは別のラインの目的ができた。それが刺激になって日々楽しく過ごしています」
“初版”を売り切る
「mg.」は、これまで10号制作。例えばコーヒーをテーマにした号は2号あり、関連小説から、リキッドコーヒー、カップ、珈琲店の紹介まで、情報誌のライター出身の自分が嫉妬するほど、大人っぽくてためになる内容だ。
続いて自身のブースで、「完売しました!」のビラを出していた川成灯さんにも声をかけた。ZINEを作り始めたのは、昨年12月の文学フリマ東京39の翌日から。「自分で本を作るって楽しそう」と初出店の文学フリマで、この日50冊の“初版”を売り切った。
「ふつうの人生に泣いたり笑ったり怒ったりと翻弄されながら転がるように走り抜けた25年間の中で、とくに忘れたくない、忘れられない日のことを書いた初めての著書です」
とご本人が紹介する「ぼくら雨をきってきらきらはしる」は、切なさが詰まったエッセイ集。
