
先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA DIGITAL」で2025年5月31日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。
【写真】挽きたて、打ちたて、ゆでたてにこだわる、バングラデシュ出身のチョウドリさん





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日本食に魅せられ、日本で腕を振るう外国ルーツの料理人たち。経済学を学ぶ留学生として来日、逗子市でそば店を営むバングラデシュ出身のおそば屋さんがいる。AERA 2025年6月2日号より。
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日本で働く外国人シェフといえば、ルーツがある国の料理を手掛ける人が大半だろう。一方で、日本料理の料理人として腕を磨き、自らの店を持つ人々もいる。
神奈川県逗子市、逗子駅のすぐ近くにたたずむ「石臼そば」も、そんな外国出身の料理人が開いた店だ。
店を訪ねたのはランチの混雑が終わり、夜の客が増え始める前の夕間暮れだったが、何年も通っている常連の一家から、初めて訪れたという2人連れまで次々に客が訪れる。

挽き方変えて試行錯誤
出されたそばを出汁の効いた汁にくぐらせ一口すすると、そばの香りがスッと鼻先を抜けていった。ここのところ、そばと言えば隙間時間に駆け込む駅そばが続いていた記者にとって、久しぶりに感じる手打ちそばの味だ。
「毎日6時から、石臼でそばの実を挽いています。気温や湿度で水の量や挽き方を変えて試行錯誤。何年やっても、完璧なゴールはないですね」
そう話すのは、オーナーで料理長のチョウドリ・エムディ・レザウル・カリムさん。バングラデシュ出身で、経済学を学ぶ留学生として1990年代に来日した。
「教授に連れていってもらった店でそばを知り、こんなにシンプルで健康的でおいしい料理があるのかと驚きました。歴史ある食文化だと聞いて、図書館に通って本を調べるようになったんです」
