セ・リーグの野手では伊藤光(DeNA)を挙げたい。オリックスでは3年連続で100試合以上に出場し、2014年にはベストナインとゴールデングラブ賞も獲得。2018年シーズン途中にトレードでDeNAに移籍した後も捕手陣の一角として活躍している。今年は山本祐大に続いて松尾汐恩の台頭もあって、ここまで一度も一軍昇格を果たせずにいるが、それでも二軍では3割を超える打率をマークするなど打撃は好調で、守備でもまだまだ力のあるところを見せている。ベテラン捕手では戸柱恭孝も控えており、けが人が出なければこのまま二軍でシーズンを終える可能性が高いというのは何とももったいないように感じる。捕手が手薄な球団は少なくないだけに、獲得を検討してみても面白い存在だ。
パ・リーグの野手では茶野篤政(オリックス)の名前が挙がる。2022年の育成ドラフト4位で徳島インディゴソックスから入団。オープン戦で結果を残して開幕前に支配下登録を勝ち取ると、開幕戦でいきなりスタメン起用されるなど1年目には91試合に出場して74安打を放つ活躍を見せた。しかし昨年はFAで西川龍馬が加入したこともあって出場機会が減少。さらに今年はドラフト1位ルーキーの麦谷祐介が積極的に起用されていることもあって、さらに苦しい立場となっている。それでも二軍ではここまでチームトップの48安打、10盗塁を記録し、打率も.310をマークするなど見事な成績を残しているのだ。今のチーム状況を考えると一軍での出番が増える可能性は低いように見えるだけに、スピードのある外野手が欲しい球団にとっては狙い目の選手と言えるだろう。
MLBに比べるとNPBではまだまだトレードに対してネガティブな印象が強いが、現役ドラフトで移籍した選手の活躍も増えているだけに、選手にとってはチャンスの多い球団に移籍した方が幸せなケースも多い。そういう意味でも、7月末のトレード期間終了までに、積極的なトレードが行われることを期待したい。
(文・西尾典文)
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