広島時代の2017年にゴールデングラブ賞を受賞し、トロフィーを手にする鈴木誠也(中央)、左は菊池涼介、右は丸佳浩(日刊スポーツ)

他球団なら守備でも外野のレギュラー

 広島時代にゴールデングラブ賞を5度受賞しているが、カブスでは主に指名打者で起用されている。イアン・ハップ、ピート・クロウアームストロング、今季アストロズから加入したカイル・タッカーと守備能力の高い3人の外野手を擁しているためだが、鈴木の守備力が決して低いわけではない。

 ハップが故障で欠場し、鈴木が左翼でスタメン起用された5月18日のホワイトソックス戦では、初回1死3塁のピンチで左飛を捕球すると、本塁へノーバウンド送球。タッチアップを狙った三塁走者の本塁生還を阻止した。前出のスポーツ紙記者は「誠也からすれば驚きのプレーではない。元々肩が強いですし、スピードもある。他のメジャー球団だったら外野のレギュラーとして守備でも貢献できる」と太鼓判を押す。

 鈴木は右打者では日本人初の2年連続20本塁打をマークし、今年もすでに14本塁打とシーズン40本塁打を超えるペースで量産している。メジャーで活躍する日本人スラッガーは希少価値がある。メジャーでシーズン30本塁打をクリアした日本人選手は、大谷翔平ドジャース)以外では、04年にヤンキースで31本塁打を記録した松井秀喜氏のみ。日本で長距離砲として活躍した松井氏も、メジャーでは中距離打者にモデルチェンジしたほど、メジャーはレベルが高い。筒香嘉智(DeNA)はメジャーで結果を残せず日本球界に復帰し、吉田正尚(レッドソックス)も右肩の状態が思わしくなく、今年はメジャー出場がない。

「誠也は松井秀喜さんに匹敵する」

 日本人スラッガーが苦戦している中、鈴木はキャリアを積み重ねて着実に成長している。カブスを取材する米国人ライターは「誠也はリーグを代表する強打者としての階段を駆け上がっている」と称賛したが、こんな疑問も口にした。

「日本のメディアで誠也はもっと注目されていいんじゃないかな。今年は東京ドームでカブスとドジャースの開幕戦が開催されて取材に行ったけど、日本でテレビをつけると大谷ばかり。大谷は野球だけでなく、家族や愛犬などプライベートも長時間取り上げられて、まるでハリウッドスターみたいだった。開幕戦に先発で投げあった山本由伸(ドジャース)、今永昇太(カブス)も出てきたけど、誠也が全然取り上げられないので驚きました。もちろん大谷は凄い選手だけど、日本のメディアは誠也をもっと取り上げてほしい。彼は松井秀喜さんに匹敵する強打者ですよ」

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