5月25日、鈴木誠也は試合を決定づける3ランを放ってガッツポーズ(AP/アフロ)
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 メジャーで活躍する日本人野手は少ないが、春先から勝負強さが際立っているのがカブスの鈴木誠也だ。

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 5月25日(現地時間)のレッズ戦では同点に追いついた8回無死一、二塁からシンカーを完ぺきにとらえると、弾丸ライナーで左翼席へ突き刺さる14号3ランとなり、試合を決めた。27日のロッキーズ戦でも先制タイムリーを放ち、今季のメジャー最速で50打点に到達。28日までに打点を51に積み上げ、ナ・リーグ単独トップとなっている。一時は2割4分台まで落ち込んだ打率も.273まで上昇。ナ・リーグ中地区で首位を快走中のチームで、鈴木は打線の中軸として不可欠な存在になっている。

「メジャーでプレーして4年目になりますが、打者としてのランクが一段上がった感じがします。打球速度が上がり、飛距離も伸びている。カブスは強力打線なので鈴木にチャンスの場面で回ってくる機会が多い。故障で離脱することなく試合に出続ければ、打点王は十分に狙えます。来オフで契約がカブスと切れますが、このパフォーマンスを継続すれば、大型契約を勝ち取れるでしょう」(米国で取材するライター)

 鈴木の強みはコンスタントに結果を残し続けられることだ。広島時代は6年連続打率3割、25本塁打をマーク。この記録は王貞治氏、落合博満氏に次ぐNPB史上3人目の快挙だった。首位打者を2度獲得するなど、球団史上初のリーグ3連覇(2016~18)に大きく貢献。明るい性格でムードメーカーとしても知られるが、広島を長年するスポーツ紙記者は「誠也は努力の人です」と証言する。

「試合後も遠征先の宿舎の駐車場でバットを振り込む姿を見てきました。プロ野球選手は負けず嫌いの集団ですが、その中でも彼は勝利への執着心、打者として安打や長打を打ちたいという執念が凄かった。ああ見えて繊細な性格なので、異国でプレーすることはグラウンド外の生活面を含めて苦労があったと思います。今の活躍は十分ですが、できればもっと外野の守備についてほしい。指名打者の起用はもったいないですよ」

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