
「コメ担当大臣」を自称する小泉進次郎農林水産大臣の動きが激しい。就任早々、メディアを引き連れてスーパーやコメ農家を視察行脚し、備蓄米の競争入札による放出を急きょ中止して随意契約に切り替え、石破首相が国会でコメ5キロ「3000円台」と答弁した約束をはるかに下回る5キロ「2000円」を掲げてコメの値下げに奔走する。
【写真】コメ価格が下がるのはこの人の「コメ買ったことない」失言のおかげ?
コメ価格を下げるためなら、
「備蓄米すべてを放出してもいい」
と食料安全保障の観点からすると危うい発言まで口にしている。
農水族の江藤氏ではコメ価格は下がらなかった?
だが実際、小泉氏に農水相が代わったことで、コメ価格対策は一気に転換した。
これまで備蓄米を3度にわたって放出しながらコメ価格の高騰を食い止められなかったのは、競争入札で高値をつけた業者に販売していたことが大きな要因だった。3回行われた入札では9割以上をJA全農が落札。政府内には随意契約で安く売るべきという意見もあったが、農水省も江藤氏も消極的だった。江藤氏は農水族として知られ、農家や農協など生産者側に近く、コメ価格の暴落を招きかねないと随意契約には踏み切らなかったという。つまり、江藤氏が「失言」せずに農水相を続けていたら、競争入札が続き、コメ高騰は収まらなかった可能性が高い。
やはり自民党で“農水族のドン”とされる森山裕幹事長は5月24日、宮崎県内の講演で、「農家がコメを作っていこうと思っていただけるため、再生産できる価格で売買されることが大事」として、
「コメが安ければいいというものではない」
と石破・小泉両氏が急激に進めるコメ価格値下げ政策をけん制している。
生産者側がコメ価格の急落を警戒しているのは確かで、新潟県内のコメ農家に聞くと、こう話した。
「備蓄米と我々が作っているコメを一緒にしないでほしい。こちらは手間ひまかけてブランド米を市場に送り出している。5キロ2000円なんてコメが出てくれば、ブランド米まで価格が下がりかねない。確かにいまの5キロ5000円台は高いが、政府のコメ政策が悪くて不足したためでしょう」