くろだ・ごう/1975年、千葉県佐倉市の「黒田書店」(現在閉店)の息子として生まれる。須原屋書店学校、芳林堂書店外商部を経て講談社でPRを担当。2017年、独立してPR会社「QUESTO」を立ち上げる(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。

【写真】明日からでも取り組める法則が満載の一冊

 18年間、700冊以上の本のPRをしてきた中で著者である黒田剛さんが培ったコミュニケーションの成功の法則。自身が行っているPR方法から、成功した実例も掲載。明日からでも取り組める法則が満載の一冊『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』。ちなみに黒田さんの座右の書は村上春樹さんの『職業としての小説家』で、村上さんのルーティンにならい、「一日10PR」することを自らに課し、8年間続けている。黒田さんに同書にかける思いを聞いた。

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 どんな逆境の分野にもヒットを飛ばす人は必ずいて、黒田剛さん(49)がまさにその人。書籍PRを仕事にする黒田さんは、『妻のトリセツ』(黒川伊保子)シリーズが70万部超え、『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子)が発売2カ月で50万部を突破、葉っぱ切り絵アーティスト・リトさんの葉っぱ切り絵シリーズ本が累計30万部超えと、本が売れない時代に、いくつもの書籍をベストセラーにしてきた。本書にはその黒田さんのコミュニケーション術がぎっしりとつまっている。

 たとえば、リリースを作って一斉メールで送ることはせず、一人ひとりに合わせた内容で本を紹介する。取材には全部立ち会う。片付けの本であれば、著者が行って片付けができる家をあらかじめ探しておき、撮影も了解を得た上で、テレビやメディアに企画ごと売り込む。担当する本の著者が勧めることはまず自分が実践し、その体験を自分の言葉で相手に伝える。

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