中日の根尾(日刊スポーツ)

 日本ハムは戦力補強の観点だけでなく、「他球団に移籍したほうがチャンスが多い」と判断した選手をトレードや現役ドラフトで放出している。昨オフの現役ドラフトでは田中瑛斗が巨人、鈴木健矢が広島に移籍。田中は今季、右打者の内角に食い込むシュートを武器に1軍に定着し、すでに自己最多の19試合に登板して12ホールドをマークしている。新庄監督の助言で日本ハム時代にサイドスローからアンダースローにフォーム改造した鈴木も救援陣を支え、11試合に登板して2勝をあげている。

伸び悩むスター選手を獲得する傾向

 では実際にトレード補強を検討した時、獲得する有力候補選手は誰か。日本ハムを長く取材するライターは「中日の根尾昂です。1軍での実績を考えると補強という意味で否定的な見方があるかもしれませんが、可能性はあります」と分析した上で続ける。

「日本ハムは潜在能力が高いけど、伸び悩んでいるスター選手を獲得する傾向があります。田中正義もドラフト1位でソフトバンクに入団しましたが1軍で未勝利とくすぶっていましたし、池田や斎藤も1軍に定着できず日本ハムに移籍してきている。根尾はなかなか殻を破り切れていませんが、投げている球を見ると間違いなくいいですよ。あとは彼の持つスター性ですよね。球場の雰囲気を変えるオーラがある。環境を変えて結果を出し、自信をつかめば、大化けする可能性があります」

 ドラフト1位で入団した根尾は野手から投手に転向と異例の野球人生を歩んでいるが、プロ7年目の今季も1軍に定着できていない。ウエスタン・リーグで1勝0敗、防御率0.00と好成績を残し、5月1日に1軍昇格。自己最速の155キロをマークして3試合連続無失点に抑えたが、20日のDeNA戦で2本のアーチを被弾するなど2回2/3で5失点。登録抹消され、ファームで再調整している。

「中13日と登板間隔が空いたので調整が難しかった部分がありますが、置かれた立場を考えると言い訳はできないですし、結果を出さなければいけません。5位に低迷している中日ですが、救援陣はコマがそろっている。問題は得点力不足が深刻な打線です。即戦力の野手を補強できるなら、根尾をトレードで放出する選択肢が考えられます」(中日を取材するテレビ関係者)

 日本ハムは福谷、郡司裕也、アリエル・マルティネス、山本拓実と中日から移籍して活躍している選手が多い。アットホームな雰囲気ですぐにチームに溶け込める環境であることも、他球団から移籍した選手が活躍できる要因だろう。

 日本ハムはトレードを敢行するか。混戦のパ・リーグを制するための補強策が注目される。

(今川秀悟)

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