【タカラトミー】リカちゃん事業部 企画開発課上級主任:飯野康子(いいの・やすこ)/1984年生まれ、東京都出身。東京藝術大学美術学部絵画科を卒業、2009年にタカラトミー入社。16年にリカちゃん開発の部署に異動(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年6月2日号にはタカラトミー リカちゃん事業部 企画開発課上級主任 飯野康子さんが登場した。

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 リカちゃんの洋服を作って着せ替えたり、撮影してSNSに投稿したり──。通称「リカ活」と呼ばれるこの遊びが近年、30〜40代の女性たちを中心に人気となっている。

 リカ活をより楽しんでもらおうと昨年発売されたのが「フォトジェニックリカ」シリーズだ。足首、膝などの関節が付き、より自然に動かせる新しいタイプのボディーが採用されている。「映え」を意識した多様なポージングを表現できるのが特徴で、大人向けにヘアスタイルやメイクも細部まで追求している。

 リカちゃんは誕生以来、最新のトレンドを取り入れている。近年はバリエーション豊かなヘアメイクに、日常でも着られるような洋服を身にまとうリカちゃんも目に留まるようになった。

「自分もこんなファッションを着こなしたいと、リカちゃんとのリンクコーデを楽しむ人もいます。流行に敏感でいられるよう、さまざまな年代のファッション誌やSNSのトレンドをチェックします」

 デザイン画を描いたら、生地の素材や縫い方、小物のサイズなどを細かく決めて試作品を作る。「リカちゃんが一番かわいく見える」まで作り直すこともしばしば。量産できるレベルを探っていく。

「生産技術の担当者や工場側には何度も相談します。『技術的に難しい』と言われることも多々ありますが、材質や縫製方法の工夫を提案して協力してもらい、可能になることもあります」

 商品は試作からおよそ10カ月をかけて発売される。手にしたファンから「こういうのを待っていました」というコメントをもらえると、それまでの苦労が吹き飛ぶという。

「最近は商品で楽しんでいる様子がSNSを通してわかるので励みになります。ほかのどの商品と組み合わせて遊んでいるのかなど、具体的に好まれている傾向も知ることができ、参考になります」

 リカ活にハマる人たちは子どもの頃にリカちゃんで遊んでいた人が多いとも言われるが、「全然遊んでいなかった人たちにもリカちゃんの世界に入ってきてもらえる商品を作っていくことが目標です」。

(ライター・浴野朝香)

AERA 2025年6月2日号

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