背番号55をつけ伸び悩んでいた巨人時代の秋広(日刊スポーツ)

移籍会見で「長距離バッター」を否定

「本質的にアベレージヒッターだと思います。スイングの軌道を見ると広角にヒットを放ち、角度がついたら本塁打という打ち方をしている。4試合連続アーチの後は長打への意識が強くなったのか、夏場以降はスイングのバランスを崩していました。あの体格を見ると長打を期待したくなりますが、逆方向の左翼に詰まらせながらもヒットゾーンに飛ばす姿が、秋広の真骨頂じゃないですかね」

 自身の理想像と異なり、スラッガーとして長打を求められたことで、袋小路に迷い込んでしまった印象を受ける。阿部慎之助監督が就任した昨年は出場が26試合と激減し、打率.261、0本塁打、1打点。今年も5試合出場にとどまっていた。

 秋広はソフトバンクの入団会見で、「身長がある分、ホームランバッターに見られがちですけど、自分は率のほうが自信がある」と語っている。自ら発したこの言葉は重い意味を持つ。巨人時代にスラッガーとして期待された重圧から解放されたい思いがあったのだろう。

 巨人時代から取材するスポーツ紙記者は、「もう長距離砲という枠組みで見られたくないんでしょう。ソフトバンクには近藤健介、中村晃、柳田悠岐と左でハイアベレージの強打者が多い。参考になるところがあるでしょう」と今後の活躍に期待を込める。

 たしかに柳田は身近なお手本になるだろう。恵まれた体格から豪快なフルスイングで広角に長打を放つイメージが強いが、30本塁打をクリアしたシーズンは3度と意外に少ない。コンタクト能力と選球眼の良さに定評があり、首位打者に2度、15年からパ・リーグ最長タイ記録の4年連続最高出塁率に輝いている。

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