スタンフォード大学で学んだ3人の息子たち。「家族全員が揃うことが難しくなりました。孫が本当にかわいくて、会うのが楽しみです」(アグネスさん)(photo アグネスさん提供)
スタンフォード大学で学んだ3人の息子たち。「家族全員が揃うことが難しくなりました。孫が本当にかわいくて、会うのが楽しみです」(アグネスさん)(photo アグネスさん提供)

これから大事なのは「文系の学び」

アグネス 私も、日本にいる子どもたちはどんなタイミングでもいいから、一度は海外に出てみるべきだと思っています。子どもたちに必要なのは「目から鱗」の体験。だから半年でも1年でも、違う文化にどっぷり浸かることで、自分の価値観を見直すきっかけになります。

佐藤 1回目から鱗を落としても不思議とまた戻ってきますから(笑)。だから、若いうちは何回でも目から鱗を落とす経験をして、視野を広げたほうがいいですね。

アグネス 今はAIがなんでも正解を教えてくれるので、人間としての本質的な力がますます大切になります。スタンフォード大学では、新しい学長の方針で、今後多くの資金が「人文学」に投じられることが決定したんです。AIが進化する時代だからこそ、大切になるのは「人間性」だという考えが背景にあります。AIを使いこなすためにも、人間性とテクノロジーを融合させる教育が必要だという考え方ですね。

佐藤 これまで理系やテクノロジーを重視する流れが続いてきましたが、AIの進化があまりにも速くて、人間の心がついていけなくなっていると感じます。技術のスピードに人間が取り残されて、心が疲れてしまっているんです。だから今こそ、哲学や倫理、文学などの「文系の学び」も大事なんじゃないかと思っています。

(構成 ライター 江口祐子)

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