
4人の子ども全員を東大理Ⅲに合格させた佐藤亮子さん。スタンフォード大学に3人の息子を送り出したアグネス・チャンさんと、子どもの才能の引き出し方、そして受験への臨み方について語り合った。
【写真】3男1女東大理Ⅲ合格の佐藤ママ 子どもたちの集合写真
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アグネス 個性を伸ばすためには本人が自分を理解し、良い選択をできる力をつけることが大事だと思っています。そのために私は子どもたちが小さい頃から「自分で選ばせる」ことを意識してやってきました。学校も同じで、いつも子ども自身に見せて、選ばせてきました。
佐藤 米国の高校を選んだのもご長男自身が決めたとおっしゃっていましたよね。
アグネス 長男が留学先を決めるとき、私たちは東海岸の名門校などを中心に、夫と長男とで学校巡りをしたんです。米国は広いですから10日ぐらいかけてツアーのように。最終的に彼が選んだのは、ランキング上位ではない西側の学校でした。まるで西部劇に出てくるような雰囲気の学校で、馬術の授業があったり、入学初日から10日間のキャンプに行くような学校です。正直、学業面で不安もありましたが、もし合わなければ1年で転校するつもりで送り出しました。
進学先は「いつも天気いいのが良かった」
佐藤 ご長男はどんなところが気に入ったんでしょうね。
アグネス 後で理由を聞いてみると、東海岸の学校は競争ばかりの雰囲気が好きになれなかったそうです。一方その西の学校は、のんびりしているし、何よりいつも天気がいいのが良かったと(笑)。
佐藤 面白いですね。そうやって自分の意見を持って判断できることって本当に大事です。うちの子どもたち4人は奈良県にある国立大附属小学校に通ったんですが、その教育はとても勉強になりました。まず、先生は子どもたちがどんな意見を言っても否定しないんです。だから子どもたちも意見が言いやすい。それを見て私は大人が態度を変えれば子どもは発言をするんだな、とつくづく思いました。
アグネス 本当にそう。私は日本の大学で教えることもありますが、日本の学生は自分から意見を言わない。まずは「意見を言う練習」から始めないといけないんです。
佐藤 家庭の中での習慣も大事ですよね。子どもってしょうもないことを話してきたりするんですが、私はどんな内容でもまず「それは面白いね」と受け止めるようにしてきました。そうすることで、子どもはどんどん話すようになります。