
東大とハーバード大という日米の両トップ校に通った経験のある兵庫県芦屋市長の高島崚輔さん(28)。それぞれの大学の学びの特色や制度の違いをどう見ているのか(全2回の1回目/後編へ続く)。
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「高島も来たらええのに」
ハーバード大に進学した灘高の先輩から、こう言われたのが高校2年生の冬。海外で暮らした経験もなく、海外の大学への進学はそれまで考えたこともなかった。だが渡米し、実際にハーバード大のキャンパスを見学したことが人生の転機になる。
「自分の好きなこと、やりたいことに誇りをもっていきいきと取り組んでいる学生に接し、こんな環境で過ごせるのはいいな、と思いました」
同年代の若者が放つエネルギーが当時の高島さんの感性を刺激した。
東大の入学手続きを終えていたが
秋入学のハーバード大は合格発表が4月。ハーバード大から合格通知を受け取った時点では、併願していた東大への入学手続きを終えていた。高島さんは「東大にも通いたい」との思いからハーバード大へ行く前の4カ月間、東大に在籍した。「居心地のよさ」を取るなら東大だった。灘高の先輩や中高時代からの友人も多かったからだ。
「東大とハーバード大を比較してどちらが上か下かというのではなく、当時18歳だった私が大学生活を送るうえで、より『自分が求める環境』に近いと感じられたのがハーバード大でした」
その一つが、ハーバード大の人間関係の濃密さの源泉ともいえる全寮制のシステムだ。