
現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります(全2回の1回目)。
* * *
10年同居中の男性はバンドマン
「10年ほど一緒に住んでる男性がいるんですけど、内縁の妻状態で婚姻届を出していないんですよ。別にいつ出してもいいし、出そうと思えばすぐに出せれるんですけどね。特に大きな理由はないんです」
みつさん(40代後半/仮名)は、昔ながらの着物を軽やかに纏(まと)い、足元はレザーの厚底靴という装いでやってきた。ウェーブがかったセミロングの黒髪に、知的な印象の黒縁眼鏡。大人の落ち着きがありながら、どこか尖った雰囲気も漂っている。
そんなみつさんの半生は、どこか掴みどころのないものだった。
「『いつ結婚するの?』『日付を決めてよ』って彼がよく言ってくるんですけど、結婚はもうしているようなものだし、私はそこに重きを置いていないというか。したところで今の何かが変わるわけではないというか……」
彼は8歳年上の元バンドマンで、ギタリスト。九州から上京して、一度はメジャーデビューをしたもののすぐに解散し、現在はソロ活動をしながら、配管の仕事をしているという。
「モテる人なので、妻は私で3人目なんですよ。最初は18歳のときに地元でデキ婚。上京してバンドを始めたときに知り合ったファンが2人目」
「不倫関係」から始まった
そんな彼とみつさんは、不倫関係から始まったという。
「出会ったのは、20年ほど前ですね。私はそのバンドのボーカルが好きで、よくライブに行っていたんです。あるときハロウィンのイベントがあって、ライブ会場にコスプレしているお子さんがいたんですよ。『可愛いな、誰の子だろう?』って思っていたら、彼の子どもで、結婚して子どもがいることを知ったんです。そのときは、まさか付き合うことになるなんて思いもしなかったですね」
10代のころからギターを弾き、雰囲気イケメンで面白い性格の彼は、多くの女性から言い寄られ、経験人数は数えきれないほどだという。かたやみつさんは、恋愛経験はあまりなく「ピュアすぎる」ほどだったそうだ。
不倫関係というと重い話になりそうなものだが、みつさんは、ほうじ茶ラテを片手に、何気ない世間話をするように続ける。