5月6日の阪神戦で走者と衝突して倒れこんだ巨人・岡本。長期離脱することになった(日刊スポーツ)
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 セ・リーグの本塁打王は2020年以来、岡本和真(巨人)と村上宗隆(ヤクルト)の2人が競り合い、3度ずつ獲得してきた(21年は2人が同時受賞)。だが、今年は両主砲ともタイトル争いどころか、規定打席に到達するかもわからない状況になっている。

【写真】阪神戦で故障を再発し途中交代して苦しい表情のヤクルト・村上

 村上は3月中旬から上半身のコンディション不良で出遅れ、2軍スタートとなった。ファームで実戦を重ね、ようやく4月17日の阪神戦で復帰したが、その復帰初戦でまさかの事態が待ち受けていた。9回2死二塁で打席に立つと、岩崎優の高めの144キロ直球を空振りした際、急に表情をゆがめ、一塁ベンチに戻った。そのまま打席に戻れず、緊急交代。コンディション不良が再発したと見られ、翌18日に登録抹消された。現時点で実戦復帰のメドは立っていない。

 岡本は今季32試合出場で打率.308、8本塁打、25打点と順調なスタートを切っていたが、想定外のアクシデントに見舞われた。5月6日の阪神戦の初回の守備で、中野拓夢の犠打を処理した三塁手・浦田俊輔の送球が本塁側にそれ、捕球しようとした際に中野と衝突。転倒してしばらく動けなかった。緊急交代して都内の病院で診察を受けたところ、「左肘靭帯損傷」と診断され、長期離脱が決まった。

 在京球団の元トレーナーはこう説明する。

「靭帯損傷はすぐに完治するものではありません。通常、実戦復帰に3カ月近くかかるでしょう。万全になる前に復帰して痛みが再発した選手がいますし、この先の長い野球人生を考えると治療に専念したほうがいい」

村上は市場価値を上げるため残留も選択肢

 不動の4番を失ったヤクルト、巨人は打線の迫力不足が否めない。そして、2人の主砲の来季以降の去就も気になってくる。

 村上は今年限りで3年契約が切れ、オフにポスティング・システムを利用してメジャー挑戦するのが既定路線と言われていた。だが、今年は度重なる故障でまだ1試合しか出場していない。

 メジャーリーガーの代理人はこう語る。

「日本で十分に実績を積み上げてきた選手なので、ケガの影響で今年の出場機会が減っても獲得に名乗りを上げる球団はあると思います。ただ、村上は守備力に不安があるので評価が分かれる選手です。本職が三塁で今年は右翼を守っていますが、外野での守備力を証明しないと指名打者での起用が主になるでしょう。ポスティング・システムで評価が低いと感じたなら、来年ヤクルトで万全の状態でプレーして、市場価値を上げてから挑戦するという選択肢が考えられます」

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