4月17日の阪神戦で故障を再発させ途中交代したヤクルト・村上(日刊スポーツ)
4月17日の阪神戦で故障を再発させ途中交代したヤクルト・村上(日刊スポーツ)

岡本の後継者がいない巨人打線

 一方、岡本はどうだろうか。こちらも早ければ今オフにポスティング・システムを利用してメジャー挑戦の可能性がささやかれていた。米国で取材するスポーツ紙記者は「岡本の強みは守れることです。メジャーのレベルでうまいとまでは言えませんが、一塁、三塁で安定した守備を見せますし、外野もオプションとして考えられる。打撃不振に陥っても、一定の守備力があれば我慢して起用してもらえる。常時スタメンで出場できる環境なら、鈴木誠也(カブス)のように20本塁打をクリアできる」と評価する。

 だが、メジャーの西海岸のスカウトは、こう話す。

巨人が今オフにポスティング・システムのメジャー移籍を容認するかが気になりますね。岡本の戦列を離れてからの戦いぶりを見ても、岡本不在の打線は破壊力が一気に落ちました。後継者がいない状況でリーグ優勝を逃したら、球団は来季の残留を望む可能性が考えられます」

 ポスティング・システムは球団が容認することで初めて移籍が実現する。巨人はポスティングの利用に消極的で、過去に認めたのは2例だけだ。

 19年に山口俊が最多勝、最高勝率、最多奪三振の投手3冠を獲得してチームのリーグ優勝に貢献。その年のオフ、巨人は初めてポスティング利用を認め、山口はブルージェイズに移籍した。2例目は菅野智之で、20年に最多勝、最高勝率の2冠を獲得し、最優秀選手にも選ばれる活躍でチームのリーグ連覇に貢献。球団はポスティングを認め、菅野はメジャーに挑戦した。だが、コロナ渦の影響でメジャー各球団の財政が逼迫されて好条件のオファーがなかったため、巨人残留を決断。菅野は昨年オフに海外FA権を行使して再度メジャーに挑戦し、オリオールズに移籍した。

「巨人がリーグ連覇を飾れば、岡本のメジャー挑戦のためポスティングを認め、快く送り出す可能性があります。しかし、優勝を逃し、岡本に代わって4番を任せられる選手がいない状況になると判断が難しい。浅野翔吾はレギュラーで一本立ちしたとは言えません。将来を背負う強打者として期待された秋広優人はソフトバンクにトレード移籍し、ソフトバンクから移籍したリチャードも未知数です。和製大砲はなかなか育たないので、球界を代表するスラッガーである岡本の価値が高まっていることは間違いありません」(スポーツ紙デスク)

 実戦復帰に向けてリハビリに打ち込む村上と岡本。メジャーから熱視線が送られる中、今オフにどのような決断を下すだろうか。

(今川秀悟)

こちらの記事もおすすめ 村上宗隆を超える長距離砲に? メジャーが熱視線を送る意外な「日本人スラッガー」の名前
[AERA最新号はこちら]