
安定的な皇位継承に向けた皇族数確保をめぐり各党での議論が続くなか、注目が集まっているのが、「女性皇族」という存在とその役割だ。皇族の減少に歯止めがかからない状況ではあるが、公務やご自身の職業、研究活動といったさまざまな分野で、いきいきとした表情で活躍する女性皇族の存在感は高まっている。社会学と消費文化論の立場から、新聞や雑誌報道における皇室を分析してきた桃山学院大学社会学部の石田あゆう教授に聞いた。
【写真】カッコイイ!のため息。愛子さま水色のパンツスーツ姿が万博で話題に
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〈今日万博に来ていて、大屋根広場が、一時、愛子さまショーに!〉
天皇、皇后両陛下の長女の愛子さまが、5月8、9日に大阪・関西万博を訪問した。視察先のパビリオンなどに愛子さまが姿を見せると、周囲は人びとの歓声と熱気に包まれ、現地では何度も「愛子さまフィーバー」が巻き起こっていた。
〈水色傘コーデの愛子さま 笑顔が素敵すぎます〉〈お肌が白くて、お顔も小さくて〉
SNSには、愛子さまの写真や動画とともに、興奮冷めやら様子のコメントが次々に投稿された。
令和の皇室で特に人気の高いのが、愛子さまだ。皇室行事や晩餐会、注目度の高い公務に出席すれば、ドレスや着物の色がテレビの速報で流れる。
秋篠宮家の次女の佳子さまも人気のある女性皇族のひとりだ。佳子さまが海外訪問や地方公務に臨めば、洋服やアクセサリーのブランドが報じられ、商品には注文が殺到するのが常だ。

女性皇族に関するファッションや子育て、教育、恋愛といった日常につながる話題は、皇室報道のメインになりやすい――。
そう話すのは、桃山学院大学で社会学・消費文化論を専門とする石田あゆう教授だ。
当然、「ファッションは皇室報道の本質ではない」と、いう批判は昔からある。
だが、石田さんは、実はそうした現象こそがよくも悪くも、「皇室への無関心」の回避に役立ってきた、と指摘する。