春の園遊会で三笠山周辺での懇談を終えた高円宮妃の久子さま。やわらかな白藍色(しらあいいろ)の地に檜扇と刺繍で描き出された鳳凰が見事な訪問着。破れ亀甲文様の帯に、オパールのような石の帯留めが春らしい雰囲気=2025年4月22日午後2時29分、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA
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 安定的な皇位継承に向けた皇族数確保をめぐり、各党での議論が続く中、活躍する女性皇族への関心が高まっている。春の園遊会でも女性皇族は和装で臨み、招待客への細やかな気遣いを見せた。皇族として務める名誉総裁職と公務の数が多く、「多忙な皇族」と言われるのが高円宮妃の久子さまだ。長女の承子さまとともにおふたりの着こなしに注目した。

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 気さくなお人柄ともちまえの社交性で、おふたりの周りはいつもアットホームな空気に包まれる。久子さまも承子さまも、洋装、和装ともに「洒落た着こなしをされる」(招待客)と評判だ。 

 実は、久子さまの祖父は、外交官とともに宮内庁の式部官も務め、公式儀礼研究の草分けとして知られた人物。久子さま自身も、三笠宮家に伝わる着物や帯をお召しになったり、逆にモダンな意匠で艶やかに着こなされたりと、「久子さまの和装が楽しみ」と話す人も少なくない。

 両陛下主催の園遊会にあって、皇族方は招待客と交流し、「おもてなし」をする立場だけに、この日の久子さまの和装は、ややひかえ目。

春の園遊会で三笠山周辺での懇談を終えた高円宮妃の久子さま。やわらかな白藍色(しらあいいろ)の地に檜扇と刺繍で描き出された鳳凰が見事な訪問着。破れ亀甲文様の帯に、オパールのような石の帯留めが春らしい雰囲気=2025年4月22日午後2時29分、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 それでも、やわらかな白藍色(しらあいいろ)の地に、宮廷の女性が用いた檜扇(ひおうぎ)と鳳凰の刺繍が見事な訪問着をお召しだった。

 京都市で京友禅の誂えを専門とし、著名人らの顧客も多い「京ごふく二十八」を営む原巨樹(はら・なおき)さんが注目したのは、久子さまの帯だ。

「締めていらっしゃるのは、破れ亀甲文様の帯です。長寿吉兆の象徴である連続した亀甲を破れ目のようにデザインした文様で、着こなしに軽やかなリズムが生まれます」

 破れ亀甲文様の帯は、昨秋の園遊会黒田清子さんの披露宴などでもお使いだった。昨秋は、流水文様が美しい裾濃(すそご)の着物と調和する朱色の帯留めを、今年は白藍色の訪問着と同じオパールのような石のついた帯留めを選ばれたことで、また新鮮に着こなされている。お気に入りの帯のひとつなのかもしれない。

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