
「さらにいえば、皇位継承権を持たない皇太子妃や宮妃、皇女が身にまとう装いが皇室にふさわしいかというトピックは、幸いにも天皇制の本質や是非を問う議論とは一線を画すことができたわけです」
昭和の幕が下り、時代は平成に移った。1990年に秋篠宮さまと紀子さま、1993年には皇太子さま(現・天皇陛下)と雅子さまが結婚。
2人のプリンセスに世間と宮内庁が期待したのは、「子をなす」ということ。東宮家には愛子さまが、秋篠宮家には、小室眞子さん、佳子さま、悠仁さまが誕生。
平成の終わりから令和の初めには眞子さんの結婚騒動があったもの、愛子さまと佳子さまは成年皇族として公務を増やしたことで、皇室は華やかな話題に包まれた。

令和皇室も海外王室を参考に、SNSを使って若い層に向けた情報発信をスタートさせた。
宮内庁が2024年4月にインスタグラム公式アカウントを、2025年4月にYouTubeチャンネルも開設し、公務や行事だけではなく天皇ご一家のご静養中の写真なども発信している。
「ネットの普及によって、女性皇族をモデルにしたアニメイラストが動画サイトなどで発信されるなど、皇室がアイドルのようにサブカル化したという新しい波もありました」
大正から昭和、平成、そして令和の現在に至るまで、皇位継承権のない女性皇族の存在によって皇室への無関心は回避されてきた。その基本的な構図は、長い間変わっていないと石田さんは言う。
いま、国会では各党が皇族数の確保のための政策について協議を進めている。
女性皇族が結婚した後も皇族の身分を保持することについては自民、立憲民主をはじめ各党ともおおむね容認の立場。