
各球団約30試合を消化した今年のプロ野球。新外国人の獲得やトレードなど補強が可能な期間はまだ残されているが、それ以上に重要になるのが自球団からの底上げではないだろうか。現在は主に二軍でプレーしていながら、今後一軍の戦力として期待できそうな選手を探ってみたいと思う(成績は5月8日終了時点)。
セ・リーグで最下位に沈んでいるヤクルト。今年も投手陣が大きな課題となっているが、その中で期待したいのが育成ドラフト3位で入団したルーキーの下川隼佑だ。昨年はファームに新規参入したオイシックスでプレーしており、40試合に登板して4勝8敗ながらイースタン・リーグではトップとなる102奪三振を記録した。今年もここまで二軍で5試合に先発すると、2勝1敗、防御率1.80という好成績を残し、5月1日には支配下登録されている。アンダースローながらストレートは130キロ台中盤をマークするなどスピードがあり、きれいに横に滑るスライダーも大きな武器だ。昨年も右打者には圧倒的な強さを誇っており、三振を奪えるのも魅力だ。今年は二軍で先発として起用されているが、昨年はリリーフでも多く登板した経験も強みである。チームは先発、リリーフともに手薄な状況だけに、近日中に一軍デビューの可能性も高そうだ。
井上一樹新監督を迎えながら今年も得点力不足に悩んでいる中日。5月5日には主砲の細川成也が右太ももを痛めて翌日には登録抹消となるなど、さらに厳しい状況となっている。その代役として期待したいのが鵜飼航丞だ。昨年はプロ入り後初めて一軍でホームラン0本、二軍でも打率.217と低調な成績に終わったが、今年は開幕から好調をキープ。二軍でここまで29試合に出場して38安打、2本塁打、23打点、打率.339という見事な成績を残している。5月5日に今季初めて一軍登録されて負傷交代となった細川の代役として途中出場すると、いきなりライト前ヒット。翌日にはスタメンで起用されて3打数1安打1盗塁と結果を残した。パワーに注目が集まるが、意外に足の速さがあるのも持ち味だ。細川の負傷はチームにとっては大きな痛手だが、鵜飼にとってはこれ以上ないチャンス。このまま好調をキープして一気に定位置獲得を狙いたい。