昨今は各球団がイベントや演出に力を入れるようになり、どの球場も常に満員に近い状態となる。ホーム、ビジターの両観客席が埋まっているにも関わらず、「ビジター側の値段が高いのは納得できない」(神宮球場の阪神ファン)というのも理解できる。
「今後は、『なぜ価格が上がったのか?』の状況説明も必要になってくるのでは。今のままでは納得できない人も増え、ファン離れに繋がる可能性もある」(スポーツマーケティング会社関係者)
「諸々の条件を踏まえAIが判断している」のがウリだが、条件の詳細内容についてはアナウンスされていない。「球団側が何の理由もなしに価格引き上げをしてもわからない」(スポーツマーケティング会社関係者)のだ。
「スピードガンの球速操作と似ている。以前は5〜10キロ程度の球速操作が日常的に行なわれていた。自球団投手には『球が走っている』と自信を持たせ、相手球団には逆効果を与える。選手、観客ともに発表された数字を信じるしかなかった(苦笑)」(在京球団OB)
球速表示は「ファンサービスの一環」のため、多少の「上げ下げ」をしてもグラウンド内ルールに抵触はしない。同様にダイナミックプライシングも「営業活動(=ビジネス)の一環」のため問題はない。しかし、ファンの懐具合(=経済状態)や心証を考えれば問題は残るだろう。
「今後は各球場で低額席が減り、高額なVIP席を増やして利益を高めていくのでは。野球観戦はますます富裕層の楽しみになるかもしれない」(スポーツマーケティング会社関係者)
かつては、「子供ファンクラブ会員は外野席無料」や「試合開始後7回以降は半額」といった制度も存在した。プロ野球を気軽に楽しめる環境があり、多くの人が触れられる国民的娯楽だった。
しかし時代は変化して、完全に「利益を出すためのビジネス」になってしまった。それでも、球場に足を運ぶファンの人たちが途切れないことに、「野球の底力」を感じる。より多くの情報を公表してもらえることで、チケット代金が高額でも納得・満足して球場へ足を運べるはずと思うのだが……。