早くつながって
長く続けてきた地下アイドルの活動をやめた。お客さんがライブに来て元気に帰っていく姿が見られなくなったのがさびしく、新しい生き方を探さなければならないと不安を感じ、再びオーバードーズをしてしまった。ただ、「追い焚き」をすると心臓の拍動が弱まって、息がうまくできなくなってしまい、深刻な体への影響を感じた。「このままだと本当に死んでしまうかもしれない」。ニュースでも、オーバードーズによる死亡事例をたびたび目にするようになり、危険性を肌で感じるようになった。
支援者として「誰かを支えたい」。でも当事者として色々なことがうまくできないように感じると、「どうにでもなれ」と自分を傷つけて、周りにも迷惑をかけ、また苦しくなってしまう。どちらの気持ちも抱えてきた。それでも、BONDで活動を始めてから「いろはさんみたいになりたい」と言ってくれる、自分より若い子たちの気持ちに応えたいという思いがある。
オーバードーズをしていると、「オーバードーズのことしか見えなくなる」。ひとりでいるとその思考から抜け出せない。でもその葛藤を話せる人たちがいれば、居場所になり、自分ひとりの考えにのめり込まないで済む。そうした居場所につながれるのは、「早ければ早いほどいい」と思う。実家と学校を往復し、苦しかった10代のころの自分が知っていたら違っていただろうか。だから歌舞伎町などの繁華街に行って、声かけを続けている。「それが生きがいなんです」
「死にたい」と思うことがあっても、その気持ちを否定せず、自分の感情のひとつとして持っていても大丈夫。生きてさえいれば、環境が変わって、少しずつ生きやすくなっていくこともあるから、生きていてほしい。自分のように誰かと出会って助けてもらった力で、誰かのために生きることもできるんだよ。そう伝えたい。
こちらの記事もおすすめ 子どもの自殺過去最多、NPOや自治体で支援の動き 識者は「大人の生きづらさ」との関係も指摘