大宮エリーさんの遺作となった『大宮エリーの東大ふたり同窓会』。養老孟司さん、小沢健二さんら20人のゲストとの語り合いについて、エリーさんは「答えは一つ出ない世界で生きていくための、何か、ヒントになる種が落ちています」と書いた

今後「やりたい」と語っていたこと

 昨年12月には一緒に食事をしながら、今後やりたいことを聞いた。地方に移住を計画していて建設中の家の写真も見せてもらった。エリーさんは、これから始まる二拠点生活を、AERAでの誌面と動画を連動させて連載したいと話していた。これからも一緒に面白いことをたくさんしていこうと約束していたが、年明けから体調が思わしくなく、LINEの返信も短文になり、次第にスタンプだけになり、最後に送ったLINEは既読がついただけだった。

 1月、書籍大宮エリー東大ふたり同窓会』の「あとがき」用に送られてきた原稿にはこう書いてあった。

《人生は面白いことばかりではないです、そんなに。日々大変です。受験時代だって今思えば、よくやったなと思うし、もう一度高校生になったとしたら、大学にはいかないと思います。ただ、こうじゃなきゃいけない!というのはないと思うんですね。思ってたのと違うなあとか、こうなりたかったけどなってないな、とかもあると思うのですが、それを受け入れる。面白がる。そこにはきっと何か意味があるのですから。》

(AERA編集部・深澤友紀)

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