
落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「得意科目」。
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常々、朝ドラについて高座のマクラやラジオで喋ったり原稿にも書いたりしてるので、周りの人からは私が熱心な朝ドラファンと思われているみたいだ。
熱心というほどでもない。だって前作「おむすび」は2カ月で挫折してしまったのだもの。決して「おむすび」が悪いんじゃない。私の器が小さくて、堪え性がなかったから。今思えばちゃんと観ておけばよかった。結(橋本環奈さん)は立派な管理栄養士になれたのだろうか? 社会人野球の彼はどうなった? 意固地な靴屋の親父(緒形直人さん)の心はほぐれたのか? いまさら気になっている。気になるなら録り溜めたHDDを観りゃいいんだけど、時間には限りがある。NHKの「映像の世紀 バタフライエフェクト」も観なきゃならない。「東ドイツ 監視国家 41年の闇」回もようやく観たところだし、すまん「おむすび」、興味の対象として東ドイツには勝てん。
とりあえず「あんぱん」は今のところ初回からちゃんと観ている。
「目、乾いてしょうがないだろうなー」
先日の独演会も、楽屋で主催者が「やっぱり今日もマクラで『あんぱん』の話するんですか?」とか、お囃子のお姉さんが「今日の出囃子は『アンパンマンのマーチ』にしますか?」とか聞いてきたりして、とにかく私に「あんぱん」を振ってくる。そりゃ「アンパンマンのマーチ」が出囃子だったら「あんぱん」の話しなきゃおかしくなっちゃうでしょう。だからしますよ、「あんぱん」の話。
基本、「あんぱん」観ながらなんかブツブツ言っている。
ヒロイン・朝田のぶを演じる今田美桜さんはなんて目が大きいのだろう。「目、乾いてしょうがないだろうなー」とか「ガガンボ(デカい蚊みたいなヤツ)くらい平気で吸い込まれていきそうだなー」とか「ガチャピン、ミニラ(ゴジラの息子)並みの眼球だなー」なんてブツブツ言いながら観ている。