休日の活動は「3時間程度」なのに
「部活」には目安となる活動時間が設定されている。国が定めた地域移行のガイドラインでは、「休日のみ活動する場合も原則として1日の休養日を設定する」ことを求めている。都の部活動ガイドラインでは休日の活動は「3時間程度」だ。
「クラブチームの監督はこのガイドラインに従わず、どんどん投げさせたようです。A君は指導には従う子でした……」(同)
A君は肩に力が入らなくなり、思うように投げられなくなってしまったという。
「行き過ぎ」を地道に改善してきた
「かつて部活動では行き過ぎた指導や過度な練習が問題になり、地道な努力によって改善されてきました。部活動の地域移行で、それが再び野放しになってしまうのではと懸念しています」(同)
クラブチームがガイドラインに違反した場合、現状は学校の対応もさまざまで、仮に生徒が不調を訴えても「休日の部活動は地域に任せている」と、見て見ぬふりをする学校管理職もいるという。
「ガイドラインを守らないクラブチームが突出して強くなり、都道府県大会や全国大会に出場するようになるかもしれません。これまで行ってきた部活動改革は何だったのか、と思います」(同)
保護者の手伝いが増える?
地域移行に関して、保護者は別の懸念も持っている。
「専門家が生徒を指導してくれるようになるのはいいのですけれど、保護者の手伝いが増えるのではないでしょうか」
複雑な思いを吐露するのは、子育て中の会社員・ヨウコさん(仮名、40代、愛知県)だ。
中学時代、ハンドボールに打ち込んだヨウコさんには、苦い思い出がある。所属した部は一時は県大会に出場するほどの強豪だったが、3年生のときに顧問が代わったとたん、勝てなくなったのだ。
「顧問が体育の先生だったときは、メンバーの力量に合わせた練習メニューをつくってくれた。ところが、美術の先生に代わったら、指導が全くなくなったんです。今までの先生が引き継いでくれたら、『強いまま、部活を終えられたのに』と思いました」(ヨウコさん)