出場機会が減っているレッドソックスの吉田正尚(日刊スポーツ)

大型契約が足かせになっている吉田正尚

 NPB時代に外野でゴールデングラブ賞を5度獲得した鈴木誠也がカブスでは指名打者を務める機会が多いことからも、メジャーの守備レベルの高さがうかがえる。守備力が高くない「打撃に特化した選手」は、突き抜けた成績を残さないと試合に出続けるのが難しい。そのケースに当てはまってしまったのが、吉田正尚(レッドソックス)だ。

 吉田は22年オフにポスティング・システムを利用し、レッドソックスと5年9000万ドル(約141億円)の大型契約を結んで入団した。移籍初年度の23年は140試合出場で打率.289、15本塁打、72打点とまずまずの成績だったが、昨年は108試合と出場機会を減らし、打率.280、10本塁打、56打点にとどまった。右肩の手術を受けて現在はリハビリに打ち込んでいるが、置かれた状況は厳しい。外野起用は守備力がネックになり、指名打者を託すには長打力にもの足りなさがあって、出場機会が得にくくなっているのだ。

「吉田の場合は大型契約で入団したことも足かせになっています。高年俸は選手としての評価が高い証ですが、年俸が高すぎると、他球団とのトレード成立が難しくなり、出場機会を得にくくなる。村上は提示された条件面が多少落ちても、出場機会を重視して移籍先を選んだほうがいいと思います。試合に出続けて力を磨けば、強豪球団にステップアップする可能性が出てくる。大谷が日本ハムから強豪球団でないエンゼルスを選んで入団したのも、投打の二刀流でプレーする環境を重視したからです。野球人生を考えた時、どの球団に移籍するかは非常に重要です」(前出のメジャーリーガー代理人)

 早くも大型契約が取りざたされている村上だが、その大型契約によって吉田のように出場機会を失うことにもなりかねないという。

 メジャー挑戦で村上がどのような決断を下すか気になるが、今は万全のコンディションを取り戻すのが先となる。神宮の夜空に本塁打を量産する姿が戻ってくるのを願うばかりだ。

(今川秀悟)

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