
メジャー代理人が気にする「コンタクト率の低下」
3度の本塁打王、2度の打点王に輝き、25歳と若い。今年は上半身のコンディション不良で試合に出られていないが、シーズン全試合出場を4度記録するなど、もともと体は頑丈だ。米国でも長距離砲として期待されるが、メジャーリーガーの代理人はシビアな見方を示す。
「昨季は打率.244で、近年はコンタクト率が落ちているのが気になります。特に直球に対してミスショットや空振りが多い。MLBの投手は平均球速がNPBよりさらに上がるので対応できるか。緩い変化球をうまくさばきますが、カットボールやツーシームなど手元で変化する高速の変化球への反応も少し時間がかかると思います。現状のパフォーマンスを見ると、メジャーで打率.220、20本塁打が妥当な線ではないでしょうか」
メジャーは打率より長打率を重視する傾向があるとはいえ、確実性を欠く打者はレギュラーとして起用されにくいのが現実だ。DeNAで日本球界を代表するスラッガーとして活躍した筒香嘉智もメジャーで苦戦した。19年オフにポスティング・システムを利用して海を渡ったが、剛速球へのアジャストに苦しみ、20年からメジャー3年間通算で182試合に出場、打率.197、18本塁打、75打点と結果を残せたとはいいがたい。23年以降はメジャー昇格が叶わず、昨年のシーズン途中にDeNAに復帰した。
試合に出続けるために重要な「守備力」
メジャー移籍後、すぐに結果を出すのは難しい。筒香も試合に出続けていれば結果が伴ってきたかもしれないが、結果を出さないと出場機会も失ってしまう。そんなとき重要になってくるものがあるという。米国に駐在する通信員が次のように話す。
「日本ではあまり報じられていないですが、メジャーの各球団は守備力を重視しています。松井秀喜さん(現ヤンキースGM特別アドバイザー)がヤンキースに移籍した初年度に春先から打撃不振が続きましたが、スタメンで我慢強く起用されたのは外野の守備能力が高かったからです。イチローさん(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)のようにずば抜けた強肩と俊足で広い守備範囲を誇っていたわけではないですが、松井さんも球際に強く打球処理が速かった。村上は足は決して遅くないが、三塁の守備力が高いとは言えない。打撃で早い時期に力を証明しないとレギュラーを張るのは難しいでしょう」